日刊スポーツはキャンプ期間中「カープ観測」と題し、広島のさまざまなデータを計測し、その強さを探っていきます。

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広島新外国人の左腕レグナルトが1人でブルペンに入り、マウンドでシャドーピッチングを始めた。ただし、本来右足をつく場所からプレート付近に向かって右足を踏み出した。つまり、上から下ではなく、下から上への投球動作。マウンドの傾斜の角度は場所によって違うが約5度。振り下ろした左手の指先が「シュッ」と土を払う異様な光景だった。

レグナルトにとって、成功をもたらす必殺のドリルだった。独立リーグ時代の13年。ゴルフ場でクラブハウスを掃除する仕事をしていた際、偶然メッツ1Aのフィル・リガン投手コーチが入ってきたので自分を売り込み、契約することになったという。同コーチらに教わったのがこのやり方。そこから3Aまで上がり、広島に入団した。

「上に向かって投げると肩が開きやすくなる。それを抑えるために足をホーム方向にしっかり伸ばして胸を張り、その胸を右膝になるべく近づけるようにして左腕を振る。これを10~15回繰り返してから投げると、肩の開きが簡単になくなるんだ。指先が地面につくけど軽くだから問題ない」

畝投手コーチは「彼のやり方なんだろう。体重移動を意識していると思う」と話した。レグナルトの投球練習にご注目。【村野森】