阪神のルーキーたちがキラリと能力を発揮した。ドラフト1位近本光司内野手(24=大阪ガス)は、藤浪から紅白戦2戦連続となる安打。持ち味の足を生かしてプロ初盗塁も決めた。同3位の木浪聖也内野手(24=ホンダ)も同じく2戦連続安打。同4位斎藤友貴哉投手(23=ホンダ)は梅野とのバッテリーで2回無失点、打者6人で片付けた。

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非凡な打撃センスが光った。白組の2番左翼で出場した近本が、藤浪の151キロを打ち返した。初回、1死走者なしの場面。バットを振ることなく2球で追い込まれたが、直後のフォークボールが外れると、4球目の外角151キロを流し打ち。「自分の思っていた球とは違ったコース。当てることが精いっぱいだった」。言葉とは対照的な力強い打球が三遊間を抜けた。

これで7日紅白戦で放った右前打に続き、2試合連続安打。だが、見せ場はこれだけじゃなかった。直後、鳥谷の初球に迷わずスタート。左足から二塁に滑り込み初盗塁をもぎ取った。7日は二盗を狙ってスタートを切るも、けん制で挟まれてアウトになっていただけに「今日は1球目に絶対走ろうと思っていた」。狙い通り。ようやく本領発揮だ。

さすがの対応力だ。矢野監督も「アウトになる確率が高い」というバットを振らず追い込まれた状況での打撃に注目。「レフト方向に、ちょんと当てたというよりは、自分のポイントに引きつけて打てるっていうのは、自分の形を持ってる。ああいう打撃ができるのは持ち味」と目を細めた。

ただ、反省も残った。6回1死から四球で出塁も、続く中谷の飛球にアウトカウントを間違って暴走。まさかのボーンヘッドに「あれは自分のミス。準備がしっかりと出来ていなかった」とガックリだ。矢野監督は「良くないのも分かってることやけど。実戦になると持ち味を出して、面白いなと思う」と、晴のち曇りの試合を前向きに評価した。【桝井聡】