2軍の千葉・鎌ケ谷で腕を磨く若手や、ケガで調整中の日本ハム注目選手たちなどの近況を報告します。

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持ち前の重い直球が、沖縄・国頭のブルペンで走った。田中豊が投げ込む球の威力は、チームでも指折りだ。昨季3年目で自身初の開幕ベンチ入りを果たしながら、今年の春季キャンプは2軍スタート。「できるだけ早く1軍に上がりたい」と、気持ちを高める。

今年1月、初めて2軍本拠地の千葉・鎌ケ谷を飛び出し、沖縄・浦添で約2週間の自主トレを行った。声をかけてくれたのが、2年連続盗塁王を獲得した西川だ。昨春のオープン戦のことだった。「『担いで投げているよ。どうしたん?』と指摘してくれて。それは、僕が悪くなる時の前兆だった。普段から、すごく他の選手のことを見ている」。投手と野手と役割は違えど、絶大な信頼を置くようになった。「打者目線で配球のアドバイスをくれて勉強になった」。初球の入り方や配球、投球フォームの癖まで、ともに過ごす時間で“打者の考え”を吸収した。

脚力自慢の西川と一緒に行ったジャンプを交えたインターバル走では悲鳴を上げたが、腸腰筋を鍛えることで「軸足で真っすぐ立つのが楽になった」。右足1本で立つと背中側に倒れていたフォームが、安定してきた実感がある。

16日の紅白戦(国頭)では石井に1発を浴びるなど、1回を2安打1失点。悔しい結果に終わったが、下を向いている暇はない。2年連続の開幕ベンチ入り、そして1軍定着こそが、西川への最大の恩返しだ。「50試合以上に登板したら、焼き肉をおごってもらえるんです」。貴重な時間を、無駄にはしない。【中島宙恵】