試合前の得点圏打率「0割4分8厘」。打率は「1割6分5厘」。不名誉な数字を引っさげ、宮崎が打席に入った。

ヤクルトベンチは前打者ロペスを申告敬遠で歩かせ、不振の男との勝負に挑んだ。宮崎は「打ってやる」と奮い立たせた。2点リードの6回2死一、二塁。カウント2-1からの4球目。高め直球を見逃さず、左翼線への適時二塁打とした。塁上で一塁側ベンチへガッツポーズ。何度も拳を突き上げた。

17年の首位打者。昨季まで2年連続で打率3割をクリアした好打者が、極度の不振にあえいでいた。4月25日の阪神戦以来、21打席ぶりの「H」ランプをともし、41打席ぶりの打点を挙げた。「試行錯誤しながら、何も変えなかったのが良かったのかもしれない」。平成最後に苦しんだ男が、令和元年の初日に見事に復活した。【栗田尚樹】