矢野阪神が令和元年の初陣を鮮やかな逆転勝ちで飾った。1点を追う5回。敵失に乗じて4点を奪い、今季初の4連勝だ。矢野燿大監督は「相手のミスでラッキーもありましたけどね。ワンチャンスで、効率良く点も取れました。いい試合になりました」と振り返った。

序盤はチェンジアップなどを駆使する野村に封じられて苦戦した。先発才木が赤ヘル打線に安打を浴びながら5回2失点でしのぐ。中盤は急転の反攻。6回にマルテが本塁打を放つなど大技小技で強敵を倒した。指揮官は言う。「野村もいい状態で来ている。いい投手と若い才木の対戦で勝てたのも大きい。逆転で勝った部分も大きい。今日の試合の中身、意味はある。本当に大きな1勝」。会心の白星に手応えは十分だ。

2019年5月1日。平成から元号が変わった。新時代を前に、指揮官も心新たにした。球団から求められ、墨汁たっぷりの太筆を執る。紙にしたためたのは「令和元年」だ。力強い筆跡に決意がにじむ。この日、ファンに配られた「観戦証明書」でも披露した。矢野監督は「何でも縁起がいいものは勝ちたい。毎日勝ちたいと思って、俺らはやっている」と語気を強める。勝率5割に復帰し、単独3位に浮上。昨季最下位からの御一新にふさわしい門出になった。【酒井俊作】