楽天辛島航投手(28)が、鬼門を攻略してチームの連敗を5で止めた。

6回5安打無失点で開幕から無傷の3勝目。2回以降は毎回走者を背負いながら粘り、「投げやすいと思ったことがない」という敵地ヤフオクドーム10度目の登板で初の無失点投球。新元号「令和」の幕開けにゼロを並べた。

緩急を自在に操り、丹念に低めを突く。辛島の真骨頂だった。5イニングで走者を背負ったが、先頭の出塁を許したのは5回だけ。4回には1死から安打と四球で一、二塁のピンチを迎えるも、上林をスライダー、甲斐をチェンジアップで連続三振。「先頭を出さなかったのが良かった。いいところで三振を取れた。野手の皆さんの援護も大きかった」。令和初戦でゼロを並べた。

福岡・飯塚高出身の地元だが「投げやすいと思ったことがない。マウンドのせいなのか、相手のせいなのか…」と苦笑交じりに話していた敵地。実際、昨季までの9試合で2勝6敗、防御率6・33。「ここでは毎回こんな感じ。今日はとにかく疲れました」とこぼしつつ、要所で踏ん張り、「苦手」を裏付けていたデータを覆した。

前回4月23日の日本ハム戦で左ふくらはぎをつって途中降板した影響も、全く感じさせない力投だった。平石監督も「相手のタイミングを外しながら、よく投げてくれた」とねぎらった。今季登板した5試合全てで5回以上を投げ、チームも勝利している。連敗ストッパーとしての役目を果たし、首位ソフトバンクに0・5差と迫っても「結果的に連敗を止められた」と淡々。ひょうひょうとした姿勢を崩さない左腕が、則本昂と岸の2枚看板を欠く先発投手陣の屋台骨を間違いなく支えている。【亀山泰宏】