ゴールデンウイーク超満員の甲子園で阪神福留孝介外野手(42)が波に乗った。3回1死満塁の先制機。DeNA先発バリオスのチェンジアップを左前にはじき返した。

「みんなでつないだチャンスだったので。ランディが頑張ってくれているので、何とか先制したいと思っていた」

頼れるベテランは、やはり勝負強い。今季の得点圏は20打数8安打の打率4割。5番を任せる矢野監督も「孝介らしい打撃をできている。どうしても得点圏でまわってくることが多い。そういうところで頼りにしている打者。孝介が打つとベンチも元気になるのでいい」と賛辞を送った。

6回には中前打。2回の右前打とあわせ、今季初の猛打賞をマークした。黄色で埋め尽くされた聖地で、どうしても勝ちたい理由があった。「去年、甲子園で勝てなかったというのもある。勝つゲームをたくさんの人に見てもらえるというのは(野球を)やっている選手としてうれしい」。詰めかけた子どもたちの期待に応えた。

「ゴールデンウイーク子どもまつり」の企画で子どものころになりたかった職業がスコアボードに映し出された。福留の回答は「バスケットボール選手」。マイケル・ジョーダン、スコッティ・ピッペンを擁した黄金期のシカゴ・ブルズに憧れた。福留自身、07年オフにカブスへ移籍。シカゴのゴルフ場でピッペンに遭遇して記念写真を撮ったこともある。福留は今、子どもにとって憧れの存在。純粋な思いで目を輝かす子どもたちを見れば自然と力が沸いてくる。

「ほんとに子供たちに、もっともっとタイガースを応援してもらえるようにグラウンドでハッスルして頑張りたいと思います!」

セ界野手最年長となる42歳。ただ、グラウンドに出れば年齢なんて関係ない。福留には、まだまだ頑張る理由がある。【真柴健】