阪神青柳晃洋投手(25)が、巨人も坂本勇も止めた。初回に2失点し再三ピンチを招くも、粘り続けて6回7安打2失点。「野手が点を取ってくれて、たまたま勝ちがついたので、野手の方に感謝ですね」。降板後に味方が逆転し、今季3勝目をつかんだ。

注目の対戦にも勝利した。開幕から36試合連続出塁と、セ・リーグ記録を打ち立てた坂本勇と3度、真っ向勝負。初回こそ大山の好捕に助けられたが、2回1死二、三塁で空振り三振。5回は投ゴロに打ち取った。通算18打数2安打と好相性ぶりを存分に発揮。「記録は僕だけではなく、チーム全員で止められた。ピンチで三振を取れたのは良かった」。リリーフ陣も続き、この試合で大記録を止めた。

前日13日に「もちろん、(記録を)そりゃ止めたい」と意気込んでいた矢野監督は、孝行息子をほめた。「あの後(初回後)は粘ってくれたのが一番の勝因かもしれない。あの粘りを成長と、こっちは受け止めたい」。初回に先頭の重信に三塁打を浴び、丸の二塁打と岡本の適時打でいきなり2点を失いながら、その後は崩れなかった。たくましく巨人戦の連敗を止めた右腕をたたえた。

グラウンドの外でも孝行息子だ。帝京大2年の時、首都大学の春季リーグの城西大戦で完投し初勝利を挙げた。試合後、スタンドを見上げると母利香さんがいた。初めてのウイニングボール。青柳はグラウンドから母に向かって投げ入れた。「感謝しかないですね。結婚してより一層そう思いました」。昨オフに結婚し、さらに感謝の思いが募った。今月12日の母の日。プロ入り後初めて贈り物をした。「使いやすかったので」と夫人と一緒に選んだ包丁を、互いの母におそろいでプレゼント。「奥さんの方にも親がいる。2人に感謝という気持ちです」。喜ばせたい相手が増え「ありがとう」の思いも2倍になった。

今季初登板となった4月3日の巨人戦(東京ドーム)は5回5安打4失点で敗戦。粘ってもぎ取った1勝は、価値ある1勝だ。【磯綾乃】