猛虎が巨人のエースを完全に粉砕した。5回に5番福留孝介外野手(42)が4号ソロを放つなど先発菅野から4本塁打で10得点でKOした。打線の勢いは止まらず、5発で13得点と空中戦を制して2連勝を飾った。これで首位巨人に1ゲーム差に迫った。

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セ・リーグ最年長野手が、東京ドームの反撃ムードを消し去った。4-5と1点差に追い上げられて迎えた5回、1死走者なし。ベテラン福留が巨人菅野が投じた初球146 キロ を鋭く振り抜いた。

打球は一直線にオレンジに染まった右翼席へ。「相手に行きかけていた流れを取り戻すためにも、1本打つことができて良かった。後手後手に回ってしまうといけないので」。仕事人は、表情1つ変えずにベースを1周した。

猛威を振るう虎打線が球界のエースをのみ込んだ。初回に糸井が先制の2号2ラン。6回にはルーキー木浪、4番大山のアーチも飛び出す。クリーンアップそろい踏みを含む4発を菅野に浴びせ、先発野手全員安打の大量10得点でKO。その中心で3安打2打点とハッスルしたのが、42歳の福留だった。

鹿児島の福留の実家には今年も純白のコチョウランが揺れる。12日の母の日に合わせて、母郁代さんにプレゼントした。大リーグ時代も欠かしたことはない。5月の母の日と、7月の誕生日には必ず花を贈る。郁代さんは毎年、その花を株分けして大事に育てる。きれいに咲いた花は、42歳になってもなお第一線で活躍し続ける証しでもある。

菅野攻略の後も勢いは止まらず、今季最多の18安打13得点で、首位巨人に打ち勝った。開幕から6連敗と苦しんできたが、潮目が変わった。令和時代に突入した「伝統の一戦」を2連勝。矢野監督も「昨日勝って、菅野に向かっていく気持ちが一番良かったんじゃないですか。調子もよくなかったとはいえ、こういう攻撃ができたのはみんなの自信になっていっていい。内容もすごくあった」と、試合後も興奮が収まらない。チームの猛打を呼び起こしたのはベテランの1発。新時代に突入しても、この男に衰える気配はない。さあ、首位まで1ゲーム差だ。【桝井聡】