広島が今季最多16安打でヤクルトに打ち勝ち、月間18勝の球団記録に王手をかけた。

6番で先発した会沢翼捕手(31)が2回の同点5号ソロに続き、8回に点差を2点に広げる6号ソロ。乱打戦となる中、最後まで主導権を渡さなかった。26日巨人戦に敗れ連勝は11で止まったが、強力打線の勢いは止まりそうにない。

7-6の8回1死。会沢がマクガフのカットボールを完璧に捉えた。高々と上がった打球が中堅左に吸い込まれる。勝利を大きく引き寄せるこの日2発目の6号ソロ。感触をかみしめるようにゆっくりとベースを1周し、ベンチで笑顔のチームメートに迎えられた。その裏1点を返され、終わってみれば1点差の辛勝。4回、右上腕に死球を受けたが「最高の結果になってよかった。(死球は)死にはせんですから」と笑った。

出番は限られている。ジョンソンが先発するときは石原がマスクをかぶり、アドゥワなら磯村が女房役を務める。正捕手ながら会沢のスタメン出場は現状、週4日が基本だ。それでも、守りでは細心のリードで投手を導き、打っては強打でアシスト。途中出場でもチームとともに戦う姿勢は変わらなかった。3戦ぶりの先発で、みなぎる力をバットに込めた。

流れを引き寄せたのも会沢だった。1点を追う2回1死走者なし。ヤクルト先発原からバックスクリーンに5号ソロをたたき込んだ。「打ったのはツーシーム。後ろにつなぐ気持ちでいきました。上からしっかりたたくことができました」。チームにエネルギーを吹き込んでいた。

これで勢いに乗った打線は連打あり、盗塁ありの波状攻撃でたたみかけた。3回に打者1巡で3点を奪取。続く4回も打者1巡で3点を奪い、早くも先発野手全員安打を達成した。4回に猛反撃で1点差に詰められたが、8回の会沢の1発で再び突き放した。今季最多16安打を浴びせ、最後は1点差で逃げ切った。

これで、5月は17勝4敗1分け。94年8月に記録した球団月間最多記録の18勝に王手をかけた。26日巨人戦に敗れて連勝は11で止まったが、打線の勢いは増すばかり。赤ヘルがまた、走り始めた。【村野森】