オリックスから今季加入した日本ハム金子弌大投手(35)が、6回途中を4安打3失点にまとめて、本拠地の札幌ドームで移籍後初勝利を挙げた。

3回までに3点のリードを許したが、4、5回は3者凡退。制球に苦しみながらも試合を作り、逆転機を呼び込んだ。先発と中継ぎ両方での起用が続く難しい役回りだが、4月18日オリックス戦(ほっともっと神戸)以来の2勝目となった。

苦しみながらも、熟練の投球で勝機を呼んだ。6回途中まで4安打3失点でまとめた金子は「自分の勝ちというより、チームの勝ちという感じ」と、逆転した味方打線に感謝した。今年から新たな職場となった札幌ドームで、移籍後初勝利。本拠地ファンへ「ちょっと遅いのかなと思いますけど、これからもっと結果を残していけるよう頑張ります」と丁寧に言葉を紡ぎ「こういったボールが増えてくれば、それだけチームも勝つということ」と、近藤から受け取ったウイニングボールを、紙袋にそっとしのばせて帰路についた。

今季は苦しいマウンドが続いている。この日も2回、先頭の井上に本塁打を浴び、続く3回には先頭打者に四球を与えて失点につながった。「調子は悪くないんですけど、制球にばらつきがあって、ここぞというところで甘くなってしまった」と反省しきり。それでも「いい意味での開き直った」という4、5回は3者凡退の投球で、その裏の逆転勝ちをお膳立てした。

新天地に移り、先発だけでなく、チームにとって新たな試みである「ショート・スターター」の第2先発など、さまざまな役割に挑戦している。登板間隔も不規則で、調整は難しいが、その苦労を表に出すことは決してない。

この日の朝、札幌ドームを背景にカモメを見たという栗山監督は「ああ、イヤだなって思ったんだよね。見た瞬間にロッテだと」。ロッテのチームロゴは、カモメ。不吉な予感を覆した右腕の投球に「こっちは、信じている。勝ち星をつけてあげられて良かった」。チームも5月14日楽天戦以来、4カードぶりにカード頭を白星で飾った。【中島宙恵】