タカ狩りは「守り」で勝負-。日刊スポーツが誇る豪華評論家陣が野球界を語る「野球塾」は、吉田義男氏(本紙客員評論家)の登場。85年阪神日本一監督はソフトバンク戦に向けて「投手を含めた堅い守りでプレッシャーをかけるべきだ」とハッパをかけた。【取材・構成=寺尾博和編集委員】

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ソフトバンクは「強い、強い」といわれてますが、ほんまに強いんでっか。わたしには絶対的強さは感じない。粗っぽいですなぁ。柳田を欠いているのもあるが、打線に陰りを感じるし、付け入るスキはあるとみます。

阪神はロッテに2勝1敗だったが、日本ハムには負け越した。ちょっと気掛かりなのはエラーが多いことですわ。ここまで54失策はセ・パ両リーグをあわせてもワースト。試合数に近い失策を犯しているのは、あきません。

守りの中心は「ショート」です。新人の木浪はよくやってます。無我夢中にプレーしている。ベースへの入り方を含めたフットワークはまずまず。緩急ついたゴロに対する足の運びを含めた対応、グラブさばき、ベース際のタッチ…、言うたらキリがないし、まだちょっとわかりませんね。

どちらかというと木浪は打の選手だが、凡ミスが多い。もっともっとフィールディングを磨かんとあかん。矢野監督は日本ハム戦での働き、サウスポーがくるソフトバンクの先発ローテーションを考慮すると、北條の起用を継続させるでしょう。

セ・リーグの遊撃手では巨人坂本勇が筆頭です。広島田中広は打撃は芳しくないが、代わりがいないのもあるだろうが、打順を下位にしながらも外さないのは、緒方監督の「守り」に対する信念がうかがえる。中日は京田を絶対守りの要に育てることができるかどうかにかかっている。

チームの優勝争いに安定したショートストップの存在は絶対条件です。85年日本一メンバーの掛布、平田らは、今でもコーチだった一枝から猛ノックを受けたことを語ります。試合前練習を遠目でうかがっていると、久慈、藤本両コーチはよく打っているほうだろうが、もっともっと鍛え上げるべきです。

それと阪神の攻撃のことをちょっとだけ話すと、チームが得点する傾向は、四球が絡んでいるケースが多い。ただ単に打って勝っているんじゃない。ここはチーム力の進歩として評価したい。

でも競り勝つにはピッチャーを含めた「守り」です。守りでプレッシャーをかけてほしい。交流戦で勝率5割なんていうてたらあきません。絶対に勝ち越すこと。その勢いをもって同一リーグ戦再開の29日中日戦のナゴヤドームに乗り込むんですわ。