敗れはしたが、阪神の先発高橋遥人投手(23)は、視察に訪れた侍ジャパン稲葉篤紀監督(46)も高評価する力投だった。7回途中8安打3失点で降板。2敗目を喫し「ミスがあった時こそカバーしないといけない。ものすごく悔しいです」と唇をかんだが、粘り強さを見せた。

2-0の5回、味方の連続失策から茂木に2点打を許し、同点に追いつかれた。だが、なおも2死一、三塁で迎えたのは3番浅村。際どいボールを続け、最後は思い切り腕を振った。渾身(こんしん)の135キロツーシームに、浅村のバットは豪快に空を切った。

7回2死一塁から連打で勝ち越しを許し、無念の降板。それでも侍指揮官は、高橋遥の投球にほれ込んだ。今回の目的は、今秋に行われるプレミア12の候補メンバーチェック。球団関係者によると、高橋遥が視察の大きな目的の1つだったという。

チェックを終え、稲葉監督は絶賛の言葉を並べた。「代表候補の中でも、ゴロアウトの取れる投手。今日も全て安打は単打で、長打を打たれないのも魅力。どの球も制球されていて、素晴らしいなと思って見ていました」。「今日も建山コーチと、選んだらどこで使うかという話をした。これからも見ていきたい」と、すでに戦力として計算するほど23歳左腕を評価した。

高橋遥は「ミスはあるし、自分が四球を出しても誰も怒らないし、励ましてくれる、ああいう時に抑えるのがいいピッチャー」と下を向いたが、持ち味を出した124球。ポテンシャルの高さをあらためて示したマウンドだった。【磯綾乃】