ソフトバンク上林誠知外野手(23)が、9回2死一塁から逆転決勝6号ランニング2ランを放った。

左翼フェンス最上部に当たりグラウンドに戻ってきたと判定された打球に、上林は本塁打と決めつけず全力で本塁まで駆け抜けた。今季3度目の猛打賞と、復調のきっかけとなる一戦となった。チームは3連勝で2位楽天に1・5ゲーム差をつけた。

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札幌ドーム満員のハム党の悲鳴の中、上林が左翼へ大きな飛球を放った。1点を追う9回2死一塁。左翼席ギリギリに着弾したかに見えた打球に、左翼近藤、スタンドのファンもショックを隠しきれなかった。

上林は「左翼手の動きを見て入ったかと思ったけれど、打球が戻ってきたのは見えた。(三塁コーチの)村松さんが腕をグルグル回していたので、一生懸命走った」と全力疾走で駆け抜けた。村松コーチは「(柳田)三塁塁審が(インプレーであるという意味の)セーフとしていたので、自分で(本塁打と)判断せずに、やれることはやっておいてよかった」と説明した。フェンス最上部に当たって跳ね返ったと判定された打球は、中堅方向へ弾んでグラウンドへ落ち、転々としていた。記録はランニング本塁打となった。工藤監督も「向こうはあきらめていたが、上林は最後まで走っていた」とほめた。

交流戦終了時の上林の打率は1割7分3厘。4月17日ロッテ戦で右手甲に死球を受け、その後骨折が判明。1カ月離脱した。1軍が休みの25日からのウエスタン・リーグ中日戦(ナゴヤ)に参加。そこでバットを構える位置を少し下げた。今も右手には違和感は残り、後ろの左手が強くなってしまう現状で、バットを出しやすいように変えた。

首脳陣は球宴前の12試合で結果を残せなければ、2軍降格も考えている。その中で2試合で4安打、3打点と食らいついている。「(14日に)1軍に戻ってきてから、貢献できていなかったので、前半戦の分も頑張っていかないと」。柳田、中村晃が不在の中、レギュラー上林の復活は何よりも心強い。【石橋隆雄】

▽柳田三塁塁審「フェンスのトップに当たってインプレーだと思ったので手を広げた。結果的に、それ以上(両球団からリクエストも)何も起こらなかったので、私たちも(リプレー検証は)起こさなかった。映像も見たんですけど、角度が2つしかなかった。(検証していたら)判断は分かれるような気がします」