巨人が貯金を今季最多の14とし、セ・リーグの貯金を独り占めした。打っては丸佳浩外野手(30)がバントミスを挽回する15号3ランでダメ押し。守っては山口俊投手(31)が8回2失点の好投でリーグ単独トップの9勝目を挙げた。交流戦後は無傷の6連勝をマーク。2位広島とのゲーム差を今季最大の7に広げ、5年ぶりのリーグ優勝に向け、独走態勢に入った。

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丸の1発に巨人の強さが凝縮された。同点で迎えた6回。1点を勝ち越し、なおも無死一、二塁。送りバントを2度ファウルした後「最低限、走者を進めようと食らいついていった」と6球目を左翼席に運んだ。「何とか気持ちを切り替えて。(山口)俊さんも(6回の走塁で)つまずくぐらい足に来てたと思うので、何とか点をと思ってたんですけど、最高の結果になって良かった」。冗談を交えながら、流れを切らさず、勢いを加速させた15号3ランを振り返った。

打線全体で意思統一し、球界屈指の左腕を攻略した。今永に対し、無安打で迎えた5回。ベンチ前で円陣を組み「抑えられているけど、狙っている球は間違っていないと。継続していく」と方向性を再確認。その直後、若林が同点の3号2ランを放ち、6回には丸の3ランを含む4連打で4点を奪って、畳み掛けた。今季はベンチ内で丸、坂本勇らを中心に対戦した投手の感想を交換。丸が「チーム全体で戦えている」と振り返ったように、束で重圧をかけた。

マウンドでは山口が巨人の強さを象徴した。2回。先頭への四球から、ロペスに先制の2ランを浴びたが、丸同様に気持ちをリセット。「イニングごとに投げ方を変えた」と1発を許した直後から7回2死まで無安打投球で流れを引き戻し、攻撃でも決勝のホームを踏んだ。8回2失点と好投し、自身初の5連勝でリーグ単独トップの9勝目。お立ち台で「勝利の味」を聞かれ「東京ばな奈の味じゃないですか」と切り返して笑わせた。

ナインを統率する原監督も、ベンチ内の雰囲気を「結果が出なければ悔しがり、結果を出した時には出した本人と同じくらいに喜び、非常にいいと思いますね」と評価した。貯金を今季最多の14とし、セ・リーグの貯金を独り占め。交流戦後は無傷の6連勝で、2位広島とのゲーム差を今季最大の7に広げた。投打ともに充実する巨人が、オールスターを前に頭一つ抜け出した。【久保賢吾】