阪神秋山拓巳投手(28)にとって3カ月ぶりの白星は、喜びが重なる格別のものとなった。勝利の瞬間、ベンチの最前列で喜びをかみしめた。「本当に、チームが勝てて良かったです」。ストライク先行の投球で、2回まで無安打。3回に太田に先制ソロを浴び、5回にも2点目を与えたが、要所を抑え、大量得点は許さなかった。同期の原口と約1年ぶりに先発バッテリーを組んで5回4安打2失点。6回に打線の援護を受け、5月7日に勝って以来の今季3勝目。粘りの投球はチームの連敗が3で止まる勝利につながった。

絆でつかんだ勝利だった。登板前日7日の試合前練習。投球練習を始めた秋山の相手役は原口だった。「昨日2人で準備出来ていた。しっかり引っ張ってくれた。やっぱり同期ですし、ずっと2人で頑張ってきたので」。同期原口とのバッテリーは18年6月29日以来となる。くしくも神宮でのヤクルト戦でそのときチームは敗れていた。初めて2人で味わう白星になった。

10年入団の同期で同じ高卒。今年1月に原口が大腸がんを公表した時、秋山は言葉をつまらせた。そして原口に同期がデザインされたオリジナルTシャツを作成。その心配りに原口は「本当に気に掛けてくれて、秋山もTシャツとか作って配ってくれて、ありがたいですね」と感謝していた。その原口は6回に同点打。2人の奮闘は勝利への大きなピースとなった。

チーム後半戦20試合目で先発投手に白星がついたのは、3日の西以来2人目(3度目)だ。矢野監督は「アキ(秋山)がこうやって1回ピシャッというか、しっかりアキらしいピッチングをしてくれたのはチームとしても大きい。次ももちろんあると思うし」。チームにとっても大きな意味を持つ1勝だ。【磯綾乃】