5人の主力が帰ってきたソフトバンクが4点差をはね返し、2位日本ハムに4・5ゲーム差をつけた。工藤公康監督(56)はスタメンに、ペルーでの国際大会から戻ったグラシアル、左肩痛と腰痛が回復した中村晃、左脇腹痛完治の福田の3人を起用。厚みが出た打線は、4点ビハインドの6回から難敵有原を攻略した。3年連続日本一へ、役者をそろえて一気に加速だ。

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エース千賀が4失点。そんな暗いムードを変えたのは、この日復帰したばかりの8番福田だった。6回先頭の福田が四球で出塁。続く甲斐の2球目に二盗を決めた。「点差もあったのか、いつもより(盗塁への)警戒が薄かった」。相手の雰囲気を察知して得点圏に進むと、直後の3球目に甲斐が「みんなが帰ってきたし、なんとかつなごうと」としぶとく中前へ適時打。さらに内川、デスパイネの適時打で1点差に詰め寄った。

7回1死二、三塁では甲斐が中堅後方へ大飛球。中堅西川が一度はグラブに入れながら落球する珍しい犠飛失策。ここでも二塁走者福田が判断よく、勝ち越しホームに頭から突っ込んで生還した。

「あれは(三塁コーチの)村松さんのおかげ。僕は捕ったと思ったが、腕を回していた。気を抜かずにいけた。自分の体感ではギリギリだと思ったので、(本塁へは)頭からいった」。神走塁で勝ち越し点を奪った。福田は8回にもダメ押しの2点適時打。経験豊富な30歳が、若手にはない判断力でチームを勝利に導いた。

工藤監督は「よく後半に有原君を攻略してくれた。みんなの何とかしたいという思いが逆転につながった」と笑顔。グラシアル、中村晃にも安打が出て、今季2度目の先発全員安打だ。左肩痛が回復した川島はこの日出番はなかったが、ベンチで声を張り上げて盛り上げた。昨年日本一の陰のMVPと評価する指揮官は「川島が戻ってきたことで、また(シーズン)最初のころに戻ってきた」と、2カ月ぶりの復帰を喜んだ。

7回には代走周東が二盗を決めた。牧原、上林も代走からの出場。これまで留守を守ってきた選手たちの目の色も変わっていた。2位日本ハムには4・5差をつけたが、5位ロッテまで6・5差と大混戦。残り37試合で役者がそろいつつある。ファームでは、岩崎、柳田の復帰も近づいている。故障者に泣かされ続けたソフトバンクが戦力を整え、混パを抜け出しそうだ。【石橋隆雄】