プロ18年目の西武栗山巧外野手(35)が、通算100号本塁打を達成した。

敵地でのロッテ戦に「5番左翼」で先発し、同点の8回に6号2ランを放ち到達。1814試合目での達成は史上2番目の遅さだ。生え抜きのヒットマンによる1発で、チームは単独2位に浮上。いぶし銀のベテランが昨季パ・リーグ王者を上げ潮に乗せ、追い上げにかかる。

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山賊の象徴のごとく、渋く光った。栗山は無心だった。同点という緊迫した状況、ここまで3打席無安打の責任感-。初球、高めのスライダーをとらえると、打球は右中間席中段まで飛んでいった。一塁ベースを回るとアドレナリン全開に珍しく右手を振り上げた。「僕も(その打席まで)いい内容じゃなかった。場面的にも、興奮しちゃいましたね」。一塁走者の同期入団の中村と一緒に生還。通算100号を達成した。

この日は山の日。山賊打線は様変わりしていた。4番には山川に代わって2年ぶりに中村が入り、栗山は5番左翼で先発。18年目のベテラン2人がクリーンアップを形成する“新山賊打線”。試合前「大きく構えよっかな~」と話した中村とは対照的に、安打を積み重ねてきた希代のヒットマンは「若いときはホームランが飛び上がるほどうれしかったけど、今はホッとする。おかわり(中村)には『やっと100号か』って言われました」と笑った。

高校通算47本塁打で、鳴り物入りで入ったプロの世界。「僕の1年目は(力で)バチン!、バチン!と打つバッターだった」と記憶をよみがえらせる。勢い任せの打撃から突き詰める日々。この8月に入ってからも、両脇を締めるフォームに大きく変えていた。試行錯誤の繰り返しに「ここ最近の方が考えてますね。今レギュラーで出ている選手のように、シンプルに打席に立って打てるようになれたらな、とも思う。でも僕はそうしないと次の打席に生かせないので」と、4打席目に仕留めた。

史上2番目に遅い100号メモリアル弾でチームは2位浮上。「1本のホームランを打つなら、2本、3本のヒットを打ちたい」。試合を決める一撃よりも、流れをつくるヒットを求める。自然と見えてくる生え抜き初の2000本安打にも「まだ先の目標。僕たちは一番上を目指している。そことの差を縮めていきたい」。栗山の大号令がチームをまた強くする。【栗田成芳】