復帰を待望されていた阪神糸井嘉男外野手から、衝撃の言葉が飛び出した。左足首関節炎の完治まで時間がかかっていることを問われ、自嘲気味に返した。

「シーズンフィニッシュ…。いや、マジです。ちょっと昨日、今日で(ペースを)落とさなアカン状況になって。我慢して(状態を)上げてきた中で炎症が出たという感じです」。足首の腱(けん)に若干の損傷が発覚したという。今季中の1軍復帰が絶望的な状況になった。

8月9日広島戦(京セラドーム大阪)の2回。糸井は盗塁を試みて二塁にスライディングした際に左足首を痛めた。翌日に出場選手登録を抹消され、最短10日での復帰を目標に治療を続けてきた。すでに打撃練習を行い、外野ノックも受けていた。「(最短10日間で)戻る気でいたけど、100%(の状態で)って言われたんで。厳しいです、ごまかされへんから。(足には)体重が全部(乗るので)」。新たな負傷の発覚で、リハビリがさらに長引くことになった。

チームが逆転でAクラスに滑り込めば、CS出場の可能性はゼロではない。「やっぱり100%じゃないとチームにも迷惑かけるし、ファンの方にも。でも現状じゃ100%というのは…。残念ですけど。今はもう、完治させる。そのことだけです。(1軍には)チャンスがあれば戻りたい」ともどかしい心境を吐露した。

今季は主に3番打者として得点力不足に苦しむ打線を引っ張った。103試合に出場して打率3割1分4厘、5本塁打、42打点。9盗塁をマークしていた。この日は屋外で打撃練習も敢行。バックスクリーンに放り込むなど快音を響かせた。それだけにペースダウンは痛恨だ。「(長期離脱は)もちろん悔しい。自分にも腹が立つ。だけど、マイナスのことばっかり思ってもしょうがない。いろいろプラスに捉えて」。シーズンは残り20試合。今後は3割打者不在の戦いを強いられる。超人と呼ばれる男だけに、規格外の回復を信じるしかない。【真柴健】