プロ野球独立リーグ・ルートインBCリーグの合同トライアウトが9日、大阪・貝塚市の日本生命グラウンドで行われた。約90人が参加したトライアウトで、社会人野球のクラブチーム、BBCジェッツの田中翼捕手(21)が強肩をアピールした。

グラウンド内外の機敏な態度、礼儀正しさなどで注目された21歳の捕手は、実技でも視察のBCリーグ監督たちの目を引いた。ベストで二塁送球1・8秒を計測したこともある強肩を披露し、実戦テストで3打数1安打をマークした。

鎮西学院(長崎)で甲子園を目指していたが、経済的な理由で続けることができなくなった。アルバイトをしながら将来を模索する中で「先生になりたいと思って」と、日本航空の通信制度を利用して学業を再開。本格的に教員を目指して大学進学を考えたが、野球への思いが勝った。大阪で働きながら、BBCジェッツで野球を続けることを選んだ。

先生になるにせよ、野球選手になるにせよ、苦境を打破して1つのことをやり遂げることを目指してきた。道を模索し、周囲の助けも得て、一度は切れかけた野球との縁を取り戻した。自分の努力と人との出会いが、田中の力になった。「そういう経験を伝えていきたい」。15日の新人ドラフト会議で指名を受ければ、独立リーグへの道が開ける。