「現役ドラフト」の概要が見えてきた。労働組合・日本プロ野球選手会は5日、大阪市内で定期大会を開き、出場機会の少ない選手を対象とした「現役ドラフト(仮称・ブレークスルードラフト)」の20年シーズンからの導入を日本野球機構(NPB)に強く要望することを決議した。同ドラフト案に対する両者の協議は続いているが、各球団が対象となる8人を選定し、全12球団から最低1人以上が指名されるプランが明らかになった。来季導入へタイムリミットとなる来年1月までの大筋合意を目指す。

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現役ドラフト導入は18年7月の選手会の臨時大会が起点となった。「日本プロ野球構造改革ビジョン2018」に向けた改革案の1つとして「魅力あるプロ野球の制度の構築」を議論。米大リーグで若い選手の飼い殺しを防ぐため、メジャーに昇格できない選手を対象に行われている「ルール5ドラフト」を日本風にアレンジした「現役ドラフト」として提唱する意向を示した。

過去にも選抜会議やセレクション会議と移籍活性化策は存在したが、制度として定着しなかった。プロテクト人数などの反省点を踏まえて選手会とNPBの選手関係委員会(阪神谷本修委員長)が18年8月から事務折衝を継続。12球団も導入に基本的に前向きな姿勢は見せているが、細部での折り合いがついておらず、合意には至っていない。

◆選抜会議メモ 70~72年に実施され、通称「トレード会議」と呼ばれた。第1回は70年11月19日、ドラフト会議の10日後に、同じ東京・日比谷の日生会館で行われた。1球団の支配下選手20%が対象となり、70年はセ・リーグ66人、パ・リーグ64人がリストアップされた。1巡目は参稼報酬+200万円、2巡目は参稼報酬+100万円、3巡目以降は参稼報酬が元所属球団に支払われる仕組みで、1巡目は指名がなかった。2巡目で阪神の鏑木悦純投手が大洋に指名され、その後合計14人が指名を受けた。71年は17人、72年は8人が指名され、大洋に移籍した鏑木投手は71年の会議では巨人に指名を受けて移籍している。

◆セレクション会議 選手会が要望したFA制度の代案として90年に開催され、12球団がそろってトレードについて話し合った。3月30日、東京グランドホテルで行われた第1回の会議では、開幕時の現役選手登録28人に5人を加えた「1軍要員の33人」とプロ入り3年未満の選手がプロテクトされ、残った選手の中から、移籍を希望する選手を各球団がリストアップ。第1回は約20人が対象となったが、トレードは成立しなかった。11月1日の第2回では約40人がトレード可能選手として提出され、島田誠(日本ハム)-坂口千仙(ダイエー)、斉藤浩行(中日)-小松崎善久(日本ハム)など3件のトレードが合意した。