燕の若き主砲が主軸としての決意を示した。ヤクルト村上宗隆内野手(19)が16日、都内の球団事務所で契約交渉に臨み、4500万円でサイン。

今季800万円から約5・6倍の大幅アップで、高卒3年目シーズンでは球団史上最高額で更改した。来季の目標には「3割30本100打点」を掲げ、初めて具体的な数字を公言。1本塁打ごとに、地震で被災した地元熊本城の復旧支援金を寄付することも発表した。

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村上の心の中には、常に故郷熊本への思いがある。会見の最後に「来年、本塁打を1本打ったら熊本城に寄付をしようと思っています」と明かした。

16年4月14日に発生した熊本地震。九州学院2年生だった。野球部の練習後、自転車で帰宅途中に最初の揺れを感じた。発生から約1カ月は練習もできなかったという。小学生で遠足で上った熊本城も、大きな被害を受けた。熊本城公園に隣接する藤崎台県営野球場で試合もした。城の前の道は通学路。「経験した人じゃないと分からない。いろいろな所で地震は起きているし、僕が発信して嫌な思いをする人もいると思うので、触れたくない」。被災者の思いをくみ多くは口にしないが、多くの人の目に触れる契約更改後の会見で、思いを明かした。

今年は熊本県のPRキャラクター「くまモン」とのコラボグッズを発売。チームメートに配るなど地元への愛着は強い。「ずっと熊本で育ってきたので、思い入れがある。まだ全然だけど、いつか活躍したら少しでも力になりたいと思っていた。復旧して、早く元気な熊本に戻ってくれたら」と願う。これまでは、来季の目標を問われると「チームの優勝と日本一」と答えてきた村上。この日は初めて、個人の目標を公言した。その真っすぐなまなざしが、決意を物語っていた。【保坂恭子】