期待の即戦力左腕が、初のブルペン投球で実力の片りんを見せつけた。日本ハムのドラフト1位河野竜生投手(21=JFE西日本)が15日、新人合同自主トレを行う千葉・鎌ケ谷で、他の新人2投手と一緒にブルペン入り。

小さなテークバックと、小気味よいテンポが特徴的で、伸びのある真っすぐを30球投げ込んだ。「甲子園も都市対抗も緊張しないで楽しめた」という強心臓も魅力で、先発ローテーション入りを狙う。

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新人3投手が並んだ初ブルペンで、真っ先に決められた30球を投げ終えた。コーチ陣をはじめ、多くのチームメートの視線もまったく意に介さない。日本ハム河野は「思っていたより、バランスをイメージできて投げられた。(状態は)70~80%くらい」。緊張の色もなく、立ち上がった捕手のミット目がけて、次々と伸びのある直球を投げ込んだ。

小さなテークバックから鋭く腕を振る姿は、同じ左腕のソフトバンク和田のよう。投球間隔は極端に短く、一緒にブルペン投球を行ったドラフト2位立野、同3位鈴木健を置き去りにしてブルペンを後にした。「他の2人が遅かったんじゃないですか」と、苦笑いですっかり気心知れた同期2人へ向け冗談を飛ばしたが、決してそういうわけではない。

ボールを受けた植村ブルペン捕手は「うちの投手には、いないタイプ。小さいけど馬力があって、すごく楽しみ」と、その投球スタイルと雰囲気に舌を巻き「テークバックが小さくてパッと(球が)来るので、打者は差し込まれる。テンポは西武時代の牧田さんのよう。タイミングが取りづらく、打者はけっこうタイムを取ると思います」と、絶賛した。河野は「打者との駆け引きで(相手に)考えさせないよう工夫している」。社会人時代に身につけたクレバーさが頼もしい。

徳島・鳴門高時代は3年連続で夏の甲子園出場。社会人でも都市対抗、日本選手権と大きな舞台を経験してきた。「甲子園も都市対抗も緊張しなかった。大勢の前で投げるのが楽しかった」と、抜群の度胸はプロ向きだ。次回は17日にブルペン入りし、目標として設定されている2月15日紅白戦(沖縄・国頭)での実戦デビューへ向けて段階的にギアを上げていく。「紅白戦では100%で行けるように頑張りたい」。スター候補は強心臓で、先発ローテの一角を狙う。【中島宙恵】