さぁ、野球の季節が始まる。2月1日、プロ野球12球団が一斉にキャンプインする。今季最大の注目は、ロッテのドラフト1位・佐々木朗希投手(18=大船渡)だ。国内高校生史上最速163キロをマークした“令和の怪物”は、一体どれほどの投手に成長していくのだろうか。沖縄・石垣で、やがて伝説になるかもしれない男が第1歩を踏み出す。

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キャンプイン直前、佐々木朗の仕事は「あいさつ」だった。初対面の先輩たちに次々、頭を下げる。「まだあいさつしかできていないんですが、基本的にはもう全員にできたかなと思います」。その言葉どおり、新外国人ハーマンにもさっそくイジられていた。

初めてのキャンプを迎える。教えを請う吉井1軍投手コーチへのあいさつは、30日のうちに済ませられなかった。31日、自主トレ開始早々に、先輩投手の種市が吉井コーチのところまで連れて行ってくれた。「まじめな子やね」。好印象だったようだ。その種市と初めてキャッチボールをこなし、キャンプイン前日を過ごした。

首脳陣の方針で、第1クール(1日~4日)にブルペン入りする予定はない。吉井コーチも「第1クールが終わったあとに予定を考えようかな」と大器をゆっくりと育てていく方針だ。

焦らないように-。井口監督も吉井コーチも、佐々木朗にそう伝えている。投げるよりも、長く活躍できる基盤を作ることが最優先のキャンプになるかもしれない。その重要性を、18歳はしっかり理解している。

「これから最終的にどんな選手になるのかっていうのは、1年目がすごく大事だと思うので、そういうのをモチベーションにしながら頑張っていきたいなと思います」。

ファン、報道陣、評論家、他球団スコアラー。石垣島を訪れる人も、31日に一気に増えた。多くの視線を浴びながら、プロ野球選手の日々が本格的に始まる。【金子真仁】