#休校になった君たちへ-。西武中村剛也内野手(36)が、人生初の先頭打者初球アーチを放った。オープン戦中日戦(ナゴヤ)で、右ふくらはぎ痛による2軍調整から復帰。打席数確保のため、「1番DH」で起用されると、即本塁打を放ち文字通りの復活をアピールした。3児の父として、プロ野球選手として、子どもたちへ強烈なアーチとともにメッセージを届けた。

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野球人生30年、1度もない。「1番DH」中村。プレーボールを前に、そわそわしながら次打者席でバットを振って待っていた。「少年野球でもない。なんかバタバタしましたね」。苦笑いで入った打席。でも、とまどいは構えるまで。初球、迷わず振ったスイングで、左翼スタンドへ放り込んだ。人生初の先頭打者初球アーチに「初っすね。でもたまたまじゃないですか。ちょっと詰まったし。風で入ったと思います」。中村らしく言った。

小学校1年から始まった野球人生、自分色に染めてきた。どの世代でも打線の中軸を担う強打者。本塁打王6度で、昨季は4度目の打点王に輝いた。破壊力はいまだ健在だ。しかしプロ19年目の今季、1月の自主トレで右ふくらはぎを痛め、キャンプは2軍スタート。1カ月遅れで1軍合流し、打席数確保のために入った1番で即結果を残した。「もう全然大丈夫っす。冷やさないように気をつけてます」と両ふくらはぎは、試合中もレッグウオーマーで温めてケアをしていた。

多くの巡り合わせで生まれた先頭打者アーチも、歓声は味方ベンチからだけだった。中村にとって今季初のオープン戦で人生初の無観客。全国で休校になった子どもたち同様に、家に残す3児を心配しながらパパは言う。「自分だったら、学校があろうがなかろうが、練習をしていると思う。それは関係ない。しっかり、自分で考えて、勉強をしてもらってね。あ、でも自分は勉強していなかったから、しろなんて言えないや」。バットを振って人生を切り開いてきた男だ。どんな苦難があっても振り続ける覚悟は染みついている。

打席数とともに、守備機会も徐々に増やしていく方針。いまだ不透明な開幕だが「そこはしょうがない。僕たちがやることは変わらない」。カラーもスタイルも変わらない。中村らしくバットを振るだけだ。【栗田成芳】