2番打者として起用が続く阪神近本光司外野手(25)が、絶妙のセーフティーバントで先制点を呼び込んだ。2番中堅で出場した巨人戦の初回、無死一塁の第1打席。初球の直球をコツンと三塁線に転がした。「コースというよりもタイミングを意識しました」。巨人ディプランの一塁送球がそれると、ベースを駆け抜けた(記録は安打)。先頭糸井の右前打から無死一、二塁とチャンスが拡大。矢野監督の今季の新構想、「イトチカ」の1、2番コンビが連動し、4番ボーアの先制打につなげた。

3回には力強いスイングで右前打を放ち、5回には2死三塁から149キロをセンター前にはじき返すタイムリーを放った。オープン戦はこの日の試合前まで20打数3安打、打率1割5厘だったが、伝統の一戦で20年初の3安打。「これまでカウント別の打撃を試していた。自分の良さが分からなくなっていた。原点に返って今日はストレートのタイミングでしっかりと振れた」と手応えアリだ。

矢野監督も初回のバントヒットにアッパレだ。「あれができたら、守備位置も前に来ざる得ない。いろんなことをやるぞ、というのはプレッシャーになる。どんどん相手の嫌がることをやって」とリクエストした。今季初対戦となった宿敵について同監督は「去年も優勝している。うちもやられている。ジャイアンツは意識して戦うチーム」と闘志を燃やす。小技あり、長打あり、快足ありのマルチ2番が暴れ回り、セ界王者を倒しにいく。【桝井聡】