11年3月11日は、いわき市立中央台南中学校の卒業式当日だった。当時15歳、中学3年の楽天内田靖人内野手は、学校近くの公園でクラスメートと別れを惜しんでいた。14時46分、大きな揺れを感じた。「家も崩れそうなくらいに揺れていた。人生で初めて死を覚悟しました」。

県営住宅の自宅へ戻ると電気はついたが、ガスが止まり、水道管破裂の影響で断水。飲料水を買い出しに行った。「小さい時に行っていた場所も津波でなくなった。悲しい気持ちになりました」と複雑な思いを抱えながら近く迫った茨城・常総学院高への入寮日を待った。

24歳の今、イーグルスのユニホームを身にまとい、グラウンドに立つ。現在、チームに在籍する東北出身の選手は7人。「東北のチームでやっている以上、僕は東北、被災地出身として自分ができることをやろうと思います」。できること、とは。「1軍で結果を出す。それが一番です」。【桑原幹久】