昨季限りで広島カープを退団した緒方孝市前監督(51)が今春、日刊スポーツ評論家に就任することが12日までに決まった。

緒方氏は監督として球団史上初のリーグ3連覇を達成した名将だ。世の中は新型コロナ・ウイルスの影響で先の見えない状況に追い込まれているが、広島はもちろん、同じセ・リーグの阪神、そして球界すべてに夢と期待を込め、新たな道を歩む構えだ。

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不器用で口べた、ぶっきらぼうなイメージは選手時代からだ。気を許せば結構、冗談も交えてよく話すが仕事、野球となれば頑固そのものである。広島監督就任前にメディア対応を含めもっとうまくやればいいのでは、という話をしてみた。そのとき緒方氏はこんな話をした。

「人によく思ってもらおうとかそういうのは別にいいんですよ。この世界は結果がすべてなので」

カープひと筋33年。FA権を獲得した99年にはミスター長嶋から巨人への熱い誘いもあったが広島に残った。現役終盤には引退を決めたが代打要員での起用を告げられ、受け入れた過去もある。結果主義は、弱かったチームを3連覇するまでに育て上げた男のプライドだったのかもしれない。

それでもコーチ、監督を経験する中で若い世代との関わり、チームづくりを意識し、少しずつ柔軟に変わってきたように思う。自ら退団したときは持ち前の頑固さが顔を見せたけれど。

自身が言うように冷却期間でいろいろな思いがあったが野球への思いは消えることはなかった。選手として指導者として功績を残した緒方氏ならではの評論が楽しみだ。【編集委員・高原寿夫】