日本ハムは28日、新型コロナウイルス感染拡大により深刻な物資不足となっている北海道の医療現場へ向けて、不織布マスク5万枚などを北海道へ寄付すると発表した。

球団と選手会長の中島卓也内野手(29)が協議し、費用は過去に実施したチャリティーオークションの収益などで積み立てた「ファイターズ基金」と、選手会費から捻出する。5月以降に道を通じて各医療機関へと分配される。

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感染者増加傾向にある北海道。苦しい医療現場を救うために、日本ハムが動いた。物資不足が深刻になっている現場で役立ててもらおうと、不織布マスク5万枚、フェースシールド920個を寄付することが決まった。球団の取引先で物資が確保できたため、行動に移した。

費用は過去に実施したチャリティーオークションの収益などで積み立てた「ファイターズ基金」と、選手会費から捻出。札幌市内で練習後、オンライン取材に応じた中島は「今こそ、北海道、日本が一つになる時です。感染を広げない努力を一人一人が続け、医療に関わる全ての方、そのご家族を温かくサポートしていく社会を一緒に築き上げていきましょう」とコメントした。

4月上旬から、札幌で自主練習する中島選手会長のほか、近藤副会長や役員を務める清水、浅間らが、球団と地域貢献について検討を重ねてきた。中島は「なにか僕たちにできないかという話があって、球団からそういう話をもらった。なにか役に立てばいいなという気持ちで」と経緯を説明。「先が見えないことへの不安がある中、経験のないストレスを感じながら働いていらっしゃる医療従事者のみなさんには感謝の気持ちしかありません」と、医療従事者をねぎらった。

北海道ではこの日も、新たに38人が感染し、1人の死亡が確認された。介護老人保健施設でクラスターが発生し、大型連休を前に不安な状況が続いている。栗山監督は「本当に我々はなにもできないのですけども、気持ちだけ、なんとか応援する気持ちだけをしっかりとお届けしたいと思います。僕らも精いっぱい応援していきます」。物資は5月以降、道を通じて各医療機関へと分配される。【山崎純一】

▽日本ハム栗山監督の話 新型コロナウイルスで皆さん大変な思いをされていると思います。特に医療関係の皆さん、感染された方々の検査を含めまして、本当にありがとうございます。病院で働く方々、そういったものを作ってくださる皆さん、本当に感謝しております。これからも頑張ってください。

<日本ハムの主な地域社会貢献活動>

◆北海道胆振東部地震復興支援活動 18年9月6日未明に起こった地震では、チーム、選手も被災。義援金や球場での募金活動のほか、被災地訪問、被災者招待など、継続的に支援している。

◆応援大使 選手が毎年18市町村の応援大使に就任。球場やメディアで町を紹介し、オフには実際に足を運んで住民と交流する。北海道179市町村すべてを応援する計画で、今年は8年目。

◆病院訪問 札幌市内にある北大病院を毎年訪問。院内学級に通う子どもたちとの交流は、07年から昨年まで13年間続いている。

◆ファイターズ基金 チャリティーオークションの収益などを積み立て、さまざまな分野へ寄付している。冬季競技に取り組む18歳以下の選手の支援や、北海道内の少年野球場の修復などに使われている。

◆K・I・D・S・プログラム 子どもの体力低下という課題解決に向け、稲葉SCOが中心となり、ボールを使った運動や遊びを紹介している。