独立プロ野球リーグ、BC新潟は29日、長岡市内の球場で練習した。3月17日のランニング中に左太もも裏の肉離れに見舞われていた木原田崇俊投手(24)は故障以来、初めて捕手を座らせて投球練習した。オフに体重を14キロ増量した全身から投げたボールの威力は増していた。

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復活を告げる21球だった。木原田が左太もも裏の肉離れ以来、初めて捕手を座らせてブルペンで21球投げた。球威のある直球を主体にチェンジアップ、スライダー、カーブ、カットボール。「球速を上げるために体重を14キロ(現83キロ)増やした。その成果が出ている」。今季はすでに球団のスピードガンで、最速148キロを計測。球速は昨季より5キロアップしている。

今季にかける思いは、ひと味違う。「これで(NPBドラフトで)選ばれなければ仕方がない、というくらいやった」という。オフには「管理栄養士の姉の助言を受けて」自炊。栄養価の高い食事で大幅な体重増量に成功した。嫌いな筋トレにも熱心に取り組み「スクワットはたぶん、チームで1番やった」。鹿児島実の同期・横田慎太郎外野手(24)が脳腫瘍の影響で阪神を退団したニュースにも衝撃を受けた。「元気なうちに徹底的にやらなければバチが当たる。今を悔いなく生きたい」。

入団1年目は開幕2試合目の武蔵戦で右肩の関節唇と腱板(けんばん)を損傷。1/3回を投げただけでシーズンは終了した。練習生に降格し「地元(鹿児島)に帰って、ハローワークで求人票を見ていた」こともある。そんなどん底からはい上がった。新型コロナウイルス感染拡大の影響で開幕が遅れているのも木原田には“追い風”。左太もも裏肉離れは余裕を持って回復。3年目の今季は抑えに回る予定だが「圧倒的な数字で『化けた』と思われたい。防御率は0点台。イニング数を上回る奪三振」と気合が入っていた。【涌井幹雄】

◆木原田崇俊(きはらだ・たかとし)1995年(平7)10月21日生まれ、鹿児島県出身。鹿児島実-日本経済大。昨季は25試合に登板し投球回数は21回1/3。過去2シーズンで0勝0敗。右投げ右打ち。175センチ、83キロ。