超人もかめはめ波~! 阪神糸井嘉男外野手(38)がソフトバンクとの練習試合で338日ぶりの復活アーチを放った。「1番右翼」で先発し、3回に左腕ムーアから左翼ポール直撃の2ラン。甲子園では2年ぶりの1発で、左足首手術からの完全復活を証明した。チームの連勝は「3」で止まったが、覚醒した新助っ人ボーアに続く糸井の一振りに、打線爆発の予感だ。

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浜風に乗った打球はグングン伸びた。左翼ポールに直撃。糸井が今季1号で完全復活を証明した。1点を追う3回に左腕ムーアのカットボールを逆方向に流し打った。「芯に当たって角度も良かったので、いくかなと思いました」。左足首手術を経て、昨年7月3日DeNA戦以来となる338日ぶりの放物線。「相手はいい投手なので、その投手から打つことができて良かったです」。メジャー通算54勝の助っ人から価値ある1発だった。

昨季8月に左足首を負傷し、同10月に手術を受けた。チームは3位に躍進し、クライマックスシリーズに進出したが、悔しい離脱となった。「去年、8月くらいから5カ月くらい寝てたからな」とつぶやく。懸命のリハビリを経て、今では「150%」とコンディションの良さを強調する。甲子園の本塁打は2年ぶり。昨年は1本もなかった本拠地での1発にパワーアップの予感が漂う。

前日はボーアが右翼ポール直撃の3戦連続本塁打を記録。新助っ人のお株を奪う「かめはめ波」パフォーマンスを披露した。「ボーアが打っている時に、あれ、やりたいなと思ってました」。自身は人気漫画ドラゴンボールに登場するベジータに憧れる。「定着するためにやりまくったろかな…頑張ろ」と、掟破りの必殺技連発にも意欲を見せた。

矢野監督はベテランに攻撃型1番としての活躍を期待する。「(逆方向へ)嘉男らしい打撃ができたのは大きい。本塁打も打てる選手。どんどん打っていってくれたらうれしい」と評価した。期待を背負う糸井はリードオフマンについて「チームにヨーイドンでいい影響を与えるような打席にしたいなと思います」と意気込んだ。患部の状態についても「(開幕延期期間が)プラスに働いたかなと思います」と、万全をアピールした。

この日は自主トレなどをともにするソフトバンク柳田も浜風を切り裂く豪快弾を放った。「人の打球じゃない」と素直に驚いたが、弟子ギータに負けない本塁打数は? との問いには「期待してください」とニヤリ。虎の超サイヤ人が6・19の開幕に向け、完全復活ののろしを上げた。【奥田隼人】

◆糸井と柳田の本塁打競演 公式戦では14年7月10日のソフトバンク-オリックス(ヤフオクドーム)で1度だけある。0-0の2回、オリックス4番の糸井が先発岩崎翔から先制の10号ソロを右中間へ運んだ。ソフトバンク6番の柳田は4-6で迎えた9回、守護神平野佳寿から左越えに11号ソロを放ったが、1点届かず競り負けた。糸井は5打数3安打1打点、柳田は3打数2安打1打点で、ほぼ互角にわたり合った。