上々の再出発だ。広島大瀬良大地投手(28)が5日、オリックスとの練習試合(京セラドーム大阪)に登板した。3月20日中日との練習試合以来、77日ぶりの対外試合登板。直球と得意のカットボールを中心に押した。課題としたスライダー、新球シュートを織り交ぜながら4回2安打無失点。4回無死一、二塁は、3者連続三振で切り抜けるなど、2年連続開幕投手の貫禄を示す投球だった。

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全70球のうち、約7割を直球とカットボールが占めた。77日ぶりの対外試合登板も、2週間後に開幕投手を務める大瀬良は結果を求めた。本来の投球スタイルで押しながら、前回課題に挙げたスライダー、新球シュートも織り交ぜた。4回無失点という好結果に加え、2年連続の大役へ弾みをつける内容だった。

長く続いた調整期間は試行錯誤を続けた。調整法を変えながら、体の使い方を見つめ直し、新球の習得に励んだ。5月29日紅白戦は感覚を探りながらの投球で3回4安打1失点。変化球に課題を残した。中6日。残り2試合と限られた調整登板は、ブランクを埋める作業と同時にシーズンを見据えた。「1試合、1球が大事になる。試合の中で考えて投げていきながら。きっちり消化していくことを心掛けてやっていきたい」。立ち上がりから調子の良かった直球と得意のカットボール主体。理想は追わず、この日のベストを発揮した。

4回無死一、二塁は、米大リーグ通算282発のジョーンズにも力勝負した。直球を続けスライダーで追い込むと、カットボールで空振り三振。5番勝俣には外角直球でバットを振らせず、太田は力で追い込み、最後は緩いカーブで空を切らせた。この日唯一のピンチを3者連続三振で切り抜け「3つ連続でとれたことは自信になる」と胸を張った。

新球シュートも試した。「全然(良くなかった)。良くなかったと判断できるまでにも至っていない」。謙遜しながらも、大事な調整登板で試投できるまでの完成度になった。充実の登板に「今日は言うことはないかなと思います」とうなずいた。チームが13連敗する中、順調な調整ぶりを示したエースに、佐々岡監督は「しっかり調整していると思うので、その辺は心配していない」と安堵(あんど)した。結果と内容、そして信頼も得て再出発を切った。【前原淳】