広島松山竜平外野手(34)が1軍復帰初戦で2安打1打点と奮闘した。5月下旬の下半身のコンディション不良から復活し、26日に1軍に昇格。この日は5番一塁でスタメンに起用され、首脳陣の期待にバットで応えた。打線は4試合ぶりの1桁安打で1点だけと沈黙。引き分けを挟み連勝は「2」で止まったが、頼もしい男の帰還は敗戦の中の光明だ。

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松山は三遊間へゴロを放つと、全力で一塁を駆け抜けた。2回、1死から迎えた今季初打席で、追い込まれてから中日吉見の外角変化球にくらいつき、故障の不安を感じさせない猛ダッシュで内野安打をもぎ取った。松山は「もう大丈夫。まだ張りとかも出るんですが、そんなことは言ってられない。1軍に上がってきたからにはやるだけ。問題ないです」と言い切った。

3点を追う4回の第2打席。2死三塁のチャンスで、真ん中低めの変化球を右前へはじき返し、この日チーム唯一の得点をたたき出した。復帰戦でマルチ安打発進に松山は「タイミングも取れていたし、ボールも見えていた」と納得の表情。得点圏での打席に「ああいう場面で打たないといけない。打点を挙げられたのはよかった」と喜んだ。

当初は5番一塁で開幕スタメンが見込まれていた。しかし5月下旬に下半身のコンディション不良で離脱。開幕には間に合わなかった。「みんな調子良かったし、早くしないと居場所もなくなってしまうと思っていた」。朝山打撃コーチは松山について「しっかり強く振れていて、いきなりヒット2本はさすが」と評価した。先発での起用については「代打からというのもあった。実績というかしっかりしたものは持っているので、1回スタメンで使って、状態を見てみたかった」と説明した。

ここまで6試合で打率3割6分、1本塁打、2打点と好調の堂林が一塁に定着していた。しかしこの日の試合前練習で堂林は左翼で守備練習を入念に行っていた。状態の良い堂林の先発起用を軸に、今後守備のシフト変更が行われる可能性も考えられる。

26日まで5番に座っていたメヒアが得点圏打率0割と不発。4番鈴木誠の後ろを打つポイントゲッターとして期待がかかる。松山は「(打点は)自分としても大事にしているところ。1試合1試合大事にやっていきたい」と引き締めた。チームに頼もしい男が帰ってきた。【古財稜明】