中日井領雅貴外野手(30)がヘッドスライディングで決勝点をもぎ取った。

0-0の7回2死三塁。阪神西勇の高めの132キロスライダーを強振した。三遊間への打球を遊撃北條が捕球して一塁送球したが、頭から気迫で飛び込んだ井領に軍配が上がって、内野安打。「今日は西投手にやられっぱなしだった。低めのボール球を打たされてきた。浮いてきた球をいこうと思った」。これが両軍唯一の得点。泥だらけのユニホームで胸を張った。

昨季から西勇には3連敗で迎えた一戦。主砲ビシエドが無安打に抑えられるなど、6回まで3度あった得点機を生かせずにいた。井領も2度の先頭打者で出塁できず、4打席目で結果を出した。

JX-ENEOSから入団し、4年目の18年は1軍出場ゼロ。正念場だった昨年、与田新監督に発掘され、代打中心でともにキャリアハイとなる55試合出場、打率2割9分。年俸も初めて1000万円に乗った。「今年は楽しく、後悔しないようにしたい」。アルモンテ、平田と主力外野手が故障離脱する中、代役として8度の先発で存在感を発揮。与田監督は「去年から1軍に定着し始めた。試合前、試合後も練習に取り組んで、何とか試合に出る機会をもぎ取ろうという思いが伝わってくる選手」と秘蔵っ子の働きに目を細めた。

負ければ両リーグ最速の20敗だったが、連敗を止め、阪神戦の連敗も4でストップ。「毎日、結果が必要になってくる。スタメンでも代打でも結果を出せればと思う」。プロ入り初めて上ったお立ち台で、6年目のアラサーは照れ笑いを見せた。【伊東大介】

◆井領雅貴(いりょう・まさたか)1989年(平元)11月4日生まれ、千葉県出身。桐蔭学園を経て、JX-ENEOS時代は12、13年と社会人野球ベストナインに。14年ドラフト6位で中日入り。5年目の昨季は代打や平田離脱の代役などで自己最多の55試合に出場。今季推定年俸1100万円。174センチ、82キロ。右投げ左打ち。

▽中日岡林(7回代走で決勝ホーム) 代打より緊張しました。貴重な1点でチームに貢献できて良かった。

▽中日勝野(今季3度目先発で6回4安打無失点と好投し、先発ローテ残留) ラストチャンスだと思って投げていました。四球もあったが、相手と勝負できました。