ベテラン左腕が若返りの快投で開幕から無傷の3連勝を飾った。ソフトバンク和田毅投手(39)が今季最速146キロを計測するなど伸びのある直球を武器に、7回途中9奪三振2失点に抑えた。苦手の西武から3年ぶりの勝利。チームはリーグ20勝一番乗りで首位を守った。

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全盛期を思わせる快刀乱麻の投球だ。和田が苦手の西武打線を相手に三振の山を築いた。「今日は5回くらいまでは若々しいピッチングができましたね」。5回に木村にソロ本塁打を浴び、左足に張りが出てきた7回に1点を失い途中降板したが、天敵相手に17年4月7日以来となる白星を挙げた。

若返り投球の軸になったのは直球だ。奪った9三振はすべて直球。強力打線のバットが次々と空を切り、球速以上のノビを感じさせた。3回には今季最速の146キロもマークし「今日の感じだと(球速は)出てるかなと思いましたが、ちょっとびっくりしましたね」と笑った。

ベテランの意地が詰まっている。「トレーニング量を落とそうとか、年相応のトレーニングを、という考えはない。自分自身に負けたくない」と、練習量を変えずに39歳の年齢に全力で抵抗している。工藤監督も「自分に厳しくやっているからこそ」とたたえた。

西武に対し、昨年は2度の対戦で2敗を喫し、防御率13・50と打ち込まれた。今季も初対戦だった6月27日のメットライフドームで3回5失点だった。「投げるたびにやられているイメージしかなかった。今日もやられたら、西武戦に2度と投げさせてもらえないという思いもあった」。背水の覚悟で開幕から無傷の3連勝。チームの3連勝も導いた。

通算成績でも、和田がパ・リーグ球団で唯一負け越しているのが西武だ。今日の白星で通算18勝19敗とし、勝率5割まであと1歩となった。また、現役投手では最も西武から勝っている日本ハム金子の19勝にもあと1つに迫った。「1年間ローテを守る」という目標があるベテランにとって、苦手チームを作らないことは重要。和田が対西武の通算勝ち越し、現役最多勝を塗り替える活躍を見せればV奪回に大きく近づく。【山本大地】