楽天涌井秀章投手(34)がチームを救った。

古巣ロッテを相手に持ち球すべてを駆使。7回を投げ本塁打の1点だけに抑え、リーグトップの5勝目をマークした。 楽天はここ7試合で相手を5点以下に抑えたのがわずか2試合と“投壊状態”にあったが、実力者の好投が今後への明るい兆しとなる。

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勝手知ったるZOZOマリンのマウンドで、涌井が淡々とアウトを積み重ねた。「今年は先頭バッターを出すことが少ないので、いい内容につながっていると思います」。7回112球を投げて、先頭を出したのは6回、福田秀の右前打だけ。失点はマーティンの本塁打だけに封じ、開幕から無傷の5連勝を記録した。 6回2死一、二塁のピンチでも動じない。28日に3本塁打を放った井上に対してギアを上げ、2球目にこの日最速の149キロをマーク。最後は134キロスライダーで一邪飛に切った。三木監督も「最近、自分たちのペースでできないことが多かったんですけど、そういうことを一切気にすることなく、逆に力に変えてもらって。頼れる投手だなと改めて思いました」とべた褒めだった。 ロッテでプレーした昨年は18試合で3勝7敗、防御率4・50。今季は6試合で5勝0敗、防御率2・89。先頭打者を出さない以外に何が変わったのか。涌井は「今年はカウントが不利になってもストライクを取れる。(小山投手コーチに)教わったシンカーだったり、いろんな球種でストライクを取ることに苦労していない。それが自分に有利なピッチングができている理由」と分析する。 試合後のお立ち台。ビジターとしてZOZOマリンで投げる気持ちを聞かれると「帰るベンチを間違えなくて良かったです」とニヤリ。その後の囲み取材では「あれはあの質問に対してそういう返しをしただけで、絶対間違えるわけがないです」と“塩対応”。マウンドを降りても涌井のペースだった。【千葉修宏】

◆散らした涌井 シンカー、スライダー、カーブを中心に変化球を散らし、前日28日に15安打を放ったロッテ打線の打ち気をかわした。前回22日オリックス戦は、ストライクゾーン内での力勝負を選択。初球から直球を5球並べるケースもあったが、この日は真っすぐを続けたのは連続3球まで。効果的に変化球を挟んだ。前夜3発の井上に対しては、全3打席入り球は直球で共通も、1打席目は内角オンリーの組み立ててで最後はカーブで二飛。2、3打席目は一転、外中心の攻め。ともにアウトローへのスライダーで空振り三振、一邪飛に仕留めた。