巨人岩隈久志投手(39)が今季限りで現役を引退すると19日、発表された。

99年ドラフト5位で近鉄に入団。05年からは楽天に移籍し、12年からは大リーグのマリナーズで通算63勝を挙げた。19年から巨人に入団し、8年ぶりに日本球界に復帰したが、右肩痛の影響で2年間1軍登板はなかった。09年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では世界一に貢献するなど、日米通算170勝をマーク。平成を代表する右腕が、21年間の現役生活に別れを告げる。

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一進一退のリハビリ生活の中、復活を目指した岩隈が、今季限りでマウンドに別れを告げる。世界一を達成した09年の第2回WBCで指揮官だった原監督からオファーを受け、19年巨人に入団。8年ぶりに日本球界に復帰したが、17年9月に手術を受けた右肩の状態は日々変化し、2年間1軍登板はなかった。

1軍のマウンドを目指し、あきらめずに汗を流した。今月上旬に行われた東京ドームでのファーム練習。シート打撃のメニューが組まれ、若手打者相手にマウンドに上がった。願いは届かず、投球中に右肩の違和感を覚えたが、苦悩の中でも己の肉体と闘い続けた。

プロ人生の始まりは、近鉄だった。04年に当時プロ野球記録の開幕投手からの12連勝を達成。16年後の今年、チームメートの菅野が新記録の13連勝を達成したが、球界再編の真っただ中、岩隈の快投する姿は希望の光をともし、野球ファンの記憶に強く刻まれた。

“おとこ気”を貫いた移籍劇も、語り継がれる。04年オフ、悩んだ末に新球団の楽天へ移籍。球団創設初戦で完投勝利するなど、初代エースとしてチームを支えた。08年には21勝で最多勝、最優秀防御率、最高勝率、沢村賞を受賞。チームは5位ながら落合(ロッテ)門田(南海)に次いで史上最低順位でリーグMVPに選ばれた。田中(ヤンキース)とともに、創設当時は弱小だった楽天の名を全国に広めた。

WBC決勝で世界を驚かせた制球力を武器に、12年から米大リーグでも活躍した。マリナーズ7年間で63勝。15年には野茂以来、日本人2人目のノーヒットノーランを達成するなど、日米通算170勝を積み上げた。現役では他にヤクルト坂口、近藤しかいない近鉄在籍選手は、21年の現役生活を走り抜けた。23日に記者会見する予定。自らの言葉で引退への思いを語る。

◆岩隈久志(いわくま・ひさし)1981年(昭56)4月12日、東京都生まれ。堀越から99年ドラフト5位で近鉄入団。04年最多勝、最高勝率、ベストナイン。同年オフに分配ドラフトでオリックス移籍直後、金銭トレードで楽天移籍。08年は21勝を挙げて投手3冠に加え、MVP、沢村賞。10年オフに入札制度で大リーグ移籍を目指すも、交渉決裂で残留。11年オフにFAでマリナーズ移籍。15年に無安打無得点。18年はメジャーで登板機会がなく、同年オフに巨人移籍。今季推定年俸2000万円。190センチ、95キロ。右投げ右打ち。

◆近鉄経験選手 岩隈は99年ドラフト5位で近鉄に入団。04年限りで消滅した近鉄に在籍経験のある現役選手は、他に近藤一樹投手、坂口智隆外野手(ともにヤクルト)の2人だけ。