西武が5点差を追いつき、価値ある引き分けに持ち込んだ。敵地での楽天戦で、初回に5点リードを奪われる絶対的不利な状況から、延長引き分けの同点劇を演じた。8人継投の代償は払ったが、クライマックスシリーズ(CS)進出には2位を争うロッテとの「11・8」直接対決で勝つことが、絶対条件。チームは試合後、仙台から千葉に入り、決戦に備えた。

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勝てなかった。でも、負けなかった。5点差を追いついての同点劇。試合後の辻監督は開口一番、「よう頑張ってくれたよ、選手は! よくここまで粘ってくれました」。できることなら勝ちたかった。しかし、初回に5点リードを奪われる敗色濃厚の状況下で、粘り強く、諦めずに戦った選手らをたたえた。大一番を前に土俵際いっぱいで、踏みとどまった。

先発今井が1回もたず6失点の大炎上。それでも初回2死一、三塁から投入された宮川を含め、後を受けた7投手は無失点リレーでつないだ。打線は相手の隙をつきながら、着実に背後から忍び寄った。2回に伏兵・9番呉念庭の右前適時打で1点。6回には愛斗の犠飛で1点、さらに金子の遊ゴロの間に1点を追加し2点差に。7回、先頭外崎の8号ソロで最接近すると、1死一、三塁からスパンジェンバーグが左前へ同点適時打を決めた。「とにかく諦めない。その気持ちで打った」と、殊勲打の助っ人がチームの思いを代弁した。

6日からの敵地4連戦は、北へ南へ西へ東へと、山賊大移動が続く。仙台での2試合を終えたチームは、この日のうちに千葉に入り、ロッテとの「11・8」直接対決に備えた。さらに、その試合後には福岡へ空路移動。埼玉・所沢を起点に帰路も含めると、4試合で約3000キロの大移動を強いられるが、CS出場権を手みやげにすることしか考えていない。

代償はある。勝ちパターンの平良が7回途中から回またぎ、守護神増田も2イニングを投げた。激戦が続くが、辻監督は「そんなこと言ってられないでしょ。あと2試合だから、泣いても笑っても。いきますよ、そういう(接戦の)展開になったら。明日は(ロッテに)勝つことしか考えてない。勝たないとダメでしょう」。指揮官自ら総決算と位置づけ、大移動のフィナーレを飾る。【栗田成芳】

▽西武増田(9回から登板し2イニングを無失点に抑え)「マウンドに向かう気持ちはいつも通り。同点だったので0に抑えることを考えて、ですね。身体は元気です」