阪神は29日、甲子園球場での秋季練習を打ち上げ、来季のチームキャプテンに大山悠輔内野手(25)が就任すると発表した。今季ともにチーム最多の28本塁打、85打点と飛躍した生え抜き大砲に対して、矢野監督が直々に指名。大山はさっそく、来季チーム最多10人となる94年度生まれでけん引すると「所信表明」した。投手キャプテンには岩貞祐太投手(29)が就任。16年ぶりのリーグ制覇へリーダーが決まった。

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「キャプテン大山」の口調はいつもと変わらなかった。

「キャプテンという役割関係なしにチームを引っ張っていかなくてはいけないと思っていました。そういう立場、年齢にもなってきている。ずっとそういう気持ちは持っていました」

今季限りで阪神を退団した福留も背負った名誉ある肩書。来季で5年目となる大山は堂々と引き受けた。今季の28本塁打、85打点はともにチーム最多。一時は本塁打王争いでトップに立つなど、キャリアハイを更新した。真の生え抜き大砲へと成長した大山は、不退転の覚悟を示した。

「もっともっと覚悟と責任感を持ってやらないといけない。チームの勝敗の全責任を背負うというか、そういう覚悟と責任感を今年以上にもっともっと強く持ってやっていきたい」

前日28日に通達した矢野監督は「苦しい時にキャプテンが重荷になることもあるけれど、逆にそれがあるから悠輔自身が成長出来る部分もある」と任命理由を明かした。ただ、大山に全責任を負わせるわけではない。「あの年代はチームの中で多いので、影響を与えられる。大山に遠慮することはない。みんながキャプテンとしてやってくれることを俺は望んでいる」。

大山と同じ94年度生まれには近本、木浪、藤浪らがおり、現時点で来季はチーム最多の10人となる。藤川や能見、福留らベテラン勢がチームを去っただけに、なおさらリーダーとしての自覚は高まる。

「自分たちの世代が引っ張っていかないといけない。助け合いながら、カバーしあいながらチームを強くするためにはどうしたらいいのかを考えながらやっていきたい」

阪神が新キャプテンと「大山世代」を中心に覇権奪回の21年シーズンに向かっていく。【只松憲】