BC・茨城が独立リーグのチームあり方に一石を投じる。今季7勝49敗4分けの最下位に沈み、首脳陣を一新した。5カ国でプレーし、イランや香港代表監督を務めた色川冬馬氏(30)がGMに、日本ハム通訳だったジョニー・セリス氏(33)が監督に就任した。また元パドレスでメキシコ代表右腕、セサル・バルガス投手(28)と、元オリオールズのダリエル・アルバレス外野手(32)を獲得。改革中の球団に潜入した。

色川GMはスポーツビジネスとしての経営にこだわる。スポンサー収入の他に「独自のキャッシュポイントを作らないといけない」。選手を育てて、よりレベルの高いリーグに送り出すことで収益化。資金調達が難しい独立リーグ界。球団を長く存続させるために、経営の安定化を目指す。

外国人選手にとってもステップアップの場にする。海外リーグより、NPBスカウトが視察に訪れやすい。「外国人選手にとっては今まで通りやっていた方が楽。でもジャンプアップするために、1回下がらないとダメだと思ってくれた」。厳しい異国の地で可能性にかける貪欲さを求めた。

実績のある外国人選手を呼ぶことで、日本人選手たちは世界のレベルを間近で体感できる。色川GMは「今のままじゃダメだと気付いてほしい。現実を通して自分の現在地を見る機会」と奮起を促す。「海外に行かなくても海外の野球を見たような環境を作りたい」と意気込んだ。

BCリーグで8年間プレーしたセリス監督は「いろんな文化の違いがある。外国人と日本人が同じ関係で野球をやる。ファミリーのようなチームを作りたい」という。国籍に関係なく、一丸となって勝利を目指す集団へ。茨城から世界に羽ばたく人材が飛び出す日が来ることを期待させた。【湯本勝大】

◆ジョニー・セリス 1987年3月26日生まれ。ベネズエラ出身。12年BC・富山に加入。その後福井、富山、滋賀、群馬と19年まで内野手としてBCリーグでプレー。今季は日本ハムの通訳を務め、11月12日に茨城の監督に就任。現役時代は185センチ、105キロ。右投げ左打ち。

◆色川冬馬(いろかわ・とうま) 1990年(平2)1月2日生まれ。仙台市出身。内野手。聖和学園から仙台大。09年渡米し、米独立リーグなど5カ国でプレー。14年イラン代表監督、15年パキスタン代表監督、17年香港代表監督を歴任。20年オフからBC・茨城のGMを務める。現役時代は176センチ、80キロ。右投げ右打ち。