竜の絶対的エースに成長した中日大野雄大投手(32)が新年の誓いを色紙にしたためた。今季の目標は「日本一」。チームを8年ぶりのAクラスにけん引した左腕は、67年ぶりのリーグ&日本シリーズ制覇を見据える。ドラゴンズ愛を貫き、国内FA権を行使せず残留。球団への思い、五輪への熱意も語った。【聞き手=伊東大介】

-あけましておめでとうございます。色紙に記した日本一の意味は

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。日本一と書いたのは、これまでは目標をリーグ優勝にしてきた。でも、去年のソフトバンク対巨人の日本シリーズを見たとき、セ・リーグであれだけ独走した巨人が2年連続でソフトバンクに4連敗した。強いソフトバンクを倒すことを一番の目標にした方がいいと思いました。それが理由ですね。

-昨年は沢村賞など数々のタイトルを取った。好調の要因は

ツーシームをより真っすぐに見えるように頑張って投げた。周囲からもツーシームがええなと話になる。けど、だからと言って、そっちに流れることなく、真っすぐがあって、というのを自分の中で強く思っていた。

--巨人菅野とはタイトル争いでも競い合った

本当に尊敬している。(菅野は)12も貯金を残し、チームを優勝させている。NPBアワーズで、『(大野雄を)めちゃめちゃ意識していた』と言われ、うれしかった。彼に勝っているところは何もない。少しでも追いついて、いろんな会話ができる成績を残したい。

-昨季国内FA権を取得したが、残留決断のきっかけは

いきなりは変わっていないです。毎試合、毎試合、投げていくたびに、このドラゴンズで宣言せんでいいやという気持ちになっていった。このチームで野球がやりたいなという気持ちが強くなっていった感じです。

-新年の大文字山登りのころは

あのときはまだ取得していない。取ったらどうするんやろと思っていた。少しは(宣言する気持ちが)あった。野球選手は誰しも自分の評価を知りたい。僕もその1人。球団からは宣言残留でもいいと言われていた。宣言して(年俸を)釣り上げるみたいなことはせんでいいと思った。

-宣言残留まで許す球団には

ありがたいですね。(宣言残留を)アカンという球団もあるでしょうし。そういうことをOKと言ってくれて、こっちも応えないとあかんなと思った。早めに決めたのはそういうことです。球団も早く決まった方がいろんなことに動きやすいと考えていた。

-今年、延期になった東京五輪出場への意欲は

めちゃくちゃ強い。日本代表の招集があるたびに呼んで欲しいと言ってきた。ジャパンの一員として戦いたい。僕が現役でバリバリやれてるときに、日本で五輪が開かれ、野球が復活する。こんなに運命的なことはない。金メダルを取る一員になりたい。心から思う。

-今季はどのようなシーズンに

去年より今年、今年より来年と、いい成績を残すためやっていく。去年の成績は間違いなく僕のキャリアハイ(20試合11勝6敗、10完投6完封、防御率1・82)。3年契約をしていただいたから甘えることなく、3年間仕事をしていきたい。

-今年は33歳になるが体に変化は

昔から30歳超えたらとか言われていて、どうなんやろと思っていたが、いまのところ何も感じない。まだ大丈夫です。まだまだ成長できると、体力的に思っている。

-ファンへ

僕が思っている以上にチームの仲間はAクラスで喜ばず、さらに上の優勝を目指しているのがよくわかったシーズンでした。僕も優勝、優勝と言ってきて、今年は狙えると思っている。球場には応援は来にくいかもしれませんが、皆さんの声は届いています。今年も全試合、応援をよろしくお願いします。

◆大野雄大(おおの・ゆうだい)1988年(昭63)9月26日、京都府生まれ。京都外大西では2年夏、3年春に甲子園出場(2年夏は登板なし)。佛教大を経て10年ドラフト1位で中日入団。15年、19年プレミア12で侍ジャパン選出。19年9月14日阪神戦でノーヒットノーラン達成、同年最優秀防御率を初受賞した。20年は11勝6敗、防御率1・82で、沢村賞など3冠。FA宣言せず中日に残留し1億7000万円増の年俸3億円プラス出来高払い(最大5000万円)の3年契約を結び、岩瀬仁紀、川上憲伸に次ぐ球団3人目の年俸3億円投手になった。183センチ、83キロ。左投げ左打ち。