野球界が「ワンチーム」でコロナ禍を乗り越えよう-。巨人原辰徳監督(62)が8日、新型コロナの影響で来日できていない外国人選手が入国できた際に東京ドームを提供し、全外国人選手が一堂に会しての「12球団合同練習案」を提案した。入国などのルールが整備されてからの話とした上で、感染拡大防止や調整の不公平などの課題解消に一丸で取り組む必要性を言及。宿泊先には球場直結の東京ドームホテルにするなど、関連施設を惜しまず用意する考えを示した。

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球界の未来のため、原監督がまたもや堂々と声を上げた。シーズン開幕まで20日を切ったが、新型コロナの影響で来日できていない外国人選手が多数存在する。「NPB、巨人軍とか、そんなことはどうでもいい。プロ野球全体で、待ちに待った選手たちなわけだよね。東京ドームに一堂に会そうと。練習場をみんなで共有する」と12球団の外国人合同練習プランを提案した。

先の先を見据えての提言だ。現状、入国許可がいつ出るかは未定。入国後の14日間の自主隔離期間についても、トレーニング時間の確保や期間短縮の要望が通るかは不透明だ。すべてが決まってから来日後の議論をするのは、後手に回る可能性がある。だからこそ原監督は「生きた2週間にするのか、さらに時間のかかる2週間にするのか。まずは国に『こういう風に考えていますが、いかがでしょうか』というお伺いですから。なすがまま、じゃだめ。そうじゃないと選手がかわいそうですよ」と今こそ野球界として具体策を提示する必要を訴えた。

実現すれば大きなメリットが考えられる。宿泊先には球場直結の東京ドームホテルを用意。到着空港から用意したバスで直行すれば、外部と接触する機会はほぼなくなり、感染拡大の防止につながる。不安な気持ちで来日するであろう選手は、同じ境遇の選手たちと練習することでメンタルの安定を図れる。1カ所で同じ練習をすることで、調整の不平等も解消できる。スタッフを各球団で分散すれば負担も最小限で済む。

開幕後になっても協力は惜しまない。「我々は場所を提供する。それぞれが協力しあう。12球団で話せばいい。ワンチームですから」。巨人のため、などという考えは毛頭ない。難局のシーズンを乗り越えるため、野球界に呼びかけた。【浜本卓也】

◆各国のアスリート入国後の対応 2月に開催されたテニスの全豪オープンでは、「選手は隔離期間内に1日5時間の外出、そのうち2時間の練習」が認められていた。日本では感染防止策として本来、帰国後14日間は隔離措置を受ける。緊急事態宣言が発令された時に停止となっているが、東京五輪に関連する国内での国際大会に出場する五輪代表選手らは、必要な防疫措置を講じたうえで入国が認められ、14日間以内にも大会参加等の活動ができる「アスリート用東京オリパラ準備トラック」というルールがある。

 

◆原監督の主な提言

<DH制の導入>

野球界の発展には必要と訴え続け、昨年の日本シリーズではソフトバンクの提案を受け、35年ぶりに全試合で採用された。「有利とか不利とかいうことは度外視して、近代野球の中で、野球界を発展させるという部分において、1歩踏み出す必要があるだろうと」。

<自主隔離期間の短縮>

全豪オープンを実例に挙げ、入国後2週間の自主隔離期間内に1日5時間まで練習できる制度導入の検討を期待。「練習ができる時間というのはすごくグッドアイデア。わがスポーツ大国、日本でも、というのは思いましたね。特にオリンピックがある。日本式の形でできるのならば」。

<日本式のキャンプ招待選手制度>

メジャーの同制度を参考に、12球団合同トライアウトで翌年の春季キャンプに選手を招待する制度をつくり、長丁場のキャンプで契約の可否を決める。「日本の場合、テストをするという感じでやるけど招待選手は長い目で見られる。野球界の発展のため」。