21年のプロ野球が開幕し、ソフトバンクが自慢の豪打で4発快勝発進を決めた。

初回に今宮健太内野手(29)が、チーム1号の先制2ランを放って主導権を握ると、周東、柳田、甲斐にも1発が飛び出しロッテを粉砕。開幕戦の4本塁打は福岡移転後初で、南海時代の1980年(昭55)以来の球団最多タイ記録だ。5年連続日本一へ、5年連続開幕白星発進は何よりの吉兆。今年も強いぞと印象づける豪快な勝ち方で、最高のスタートを切った。

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打った瞬間にスタンドインを確信した。ここ数年の鬱憤(うっぷん)を晴らすかのように、今宮はベンチに向かってグッと拳を握って見せた。初回無死一塁の今季初打席だ。ロッテ二木の初球、高め直球を豪快に左翼席に運んだ。「あまり表には出さないんですけど、この1本はうれしかったなと思います」。思いのこもった先制2ランは試合を決める決勝弾となった。

復活へ期する思いが強い21年だ。ここ3年は故障離脱があり、悔しいシーズンが続いている。昨年も8月に左ふくらはぎを痛めて、戦列に戻ることがなかった。今季はキャンプ序盤に両ふくらはぎのコンディション不良でA組から離れたが、開幕に間に合った。「今年にかける思いというのはみんな持っているんですけど、ここ3年ずっと、離脱ばかりを繰り返して悔しい思いをしている。ケガなく全力で、チームのためにと思ってやっている。(ガッツポーズは)その思いが出ちゃいましたね」。この日は母校の明豊(大分)が、センバツで2年ぶりの8強進出。後輩に負けじと、先輩も最高の結果を出した。

5年連続日本一を狙うチームにとっては、5年連続開幕勝利という幸先いい門出になった。工藤公康監督も「最高のスタート」と喜んだ。就任7年目、大きな変化がある。小久保ヘッドコーチを迎え、野手に関しての判断を託した。この日の開幕スタメンも、小久保ヘッドが野手陣の意見をまとめ、工藤監督に提案する形だった。「ヘッドが考えに考えて出してくれた答え」。そのラインアップはホークスの開幕戦では福岡移転後初で、南海時代の80年近鉄戦以来となる4本塁打を生んだ。

リーグ連覇と5年連続日本一へ、まずは1勝。指揮官は「3連戦あれば勝ち越していくこと。それを続けていくことが優勝に近づいていく。先を見ずに、3連戦を勝ち越すんだという思いで続けていきたい」と引き締めた。白星を量産する21年の旅が、始まった。【山本大地】

▼ソフトバンクの開幕戦4本塁打は、前身の南海時代の80年近鉄戦(日生)で4本塁打したメイ、門田博光、新井宏昌、定岡智秋に並び、球団最多。89年の福岡移転後では単独で最多となった。

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