今季の藤浪は土俵際で耐えられる。3点リードで迎えた3回。先頭の9番投手浜口への四球から1死満塁とされながら、それでも失点は許さない。4番佐野のライナーを右翼佐藤輝が好守。最後は2死満塁から5番宮崎を外角低め152キロで見逃し三振に仕留めた。

「前回、前々回とピシャリとはいかない内容でしたが、なんとか粘り強く投げられている。そういった部分は維持しつつ、いいテンポで投げていくことができればなと思います」

前日8日の宣言通り、マウンド上で粘りを体現した。序盤から制球が定まらない。1回は2四球から2死二、三塁のピンチを招き、5番宮崎を外角低め140キロカットボールで空振り三振に仕留めた。3回1死満塁の大ピンチをしのぐと、4回からはワインドアップ投法をセットポジションに変更。柔軟な姿勢で安定感を取り戻した。

横浜スタジアムは相性のいい舞台でもある。試合前時点で自身通算10試合7勝1敗、防御率3・38。15年7月5日から6連勝中だ。今季のDeNA打線はここまでオースティン、ソトらを欠きながらもリーグトップのチーム打率を誇っていた。ドラフト2位の牧らが好調をキープしており「少しでも気を抜いてしまうと大量得点になってしまう」と警戒していたが、懸命な粘投できっちり試合を作った。

開幕戦となった3月26日ヤクルト戦は5回2失点。4月2日中日戦は6回1失点。白星こそついていないが、2戦連続でゲームメークしている力は決してフロックではない。「とにかく自分のピッチングをすることに集中したい」と話していた藤浪。21年開幕投手を任されただけの潜在能力が、徐々に数字に表れ始めている。【佐井陽介】

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