日本の4番を打て-。7日のDeNA戦(横浜)で負傷離脱した大山の代役として、「4番三塁」で先発出場する阪神佐藤輝明内野手(22)に世界のホームラン王から激励の言葉が届いた。プロ通算868本塁打を放った王貞治氏(80=現ソフトバンク球団会長)が、「いずれは日本の4番に」と熱いエールを送った。チームトップ9本塁打を放つ虎のドラフト1位が新人王だけでなく59年桑田(大洋)以来の新人での本塁打王を獲得することも期待した。

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怪物スラッガーにとって、これ以上ないエールが送られた。世界の本塁打王である王貞治氏が佐藤輝の打席をチェックし、大きな期待を寄せていた。

「近大でしっかり鍛えられているからね。いずれは『日本の4番』になるような存在になってほしい。それだけのものはあるよ」

大山の負傷離脱により、7日のDeNA戦で代役ながら虎の4番として本格的に出場する。スケールの大きさは、1つの球団にとどまらない。王氏は将来的に日本代表の4番を張れるレベルであることを認めた。

佐藤輝は新人離れした長打力で本塁打を量産。6日時点でリーグトップに1本差、3位の9本塁打を放っている。「新人で本塁打王になったら長嶋さん以来かな? 桑田さんが取ったかな」。58年巨人長嶋が29本、59年大洋桑田が31本(中日森とタイ)で2年連続でルーキーが本塁打王を取ったことを鮮明に覚えていた。「それだけのものは持っているよね。まあ、でもあまり言うとプレッシャーをかけたらいけないからね」と佐藤輝を思いやったが、1年目から本塁打のタイトルを狙えると見ている。「もともと飛ばす力は持っているからね。それに広角に打てるのはいいよね」。偉大な世界の本塁打王は、逆方向へも打てる魅力を感じている。

今季ここまで全32試合に出場しスタメンは31試合。リーグトップの46三振をしても、じっくり育てようという矢野監督の姿勢も高く評価する。「阪神も小さく育てるんじゃなくて、今の使い方はいいと思う。矢野監督もしっかり考えてやっていると思う。伸び伸びとさせてほしいね」と育成方針にも賛同。今後も我慢して大きな花を咲かせることを願った。

昨秋のドラフト会議で、ソフトバンクは佐藤輝をドラフト1位で指名した。ドラフト前に公表するほどの熱の入れようで、遠くへ飛ばす打者が大好きな王氏も映像をチェックしていた。監督時代から「背中がバキバキいうほどバットを振り切れ」と指導してきた王氏だからこそ、入団後の熱血指導も楽しみにしていたはずだ。4球団競合で縁はなかったが、今後の球界を背負う後継者として、コロナ禍で元気がない世の中で、大きなアーチを描いてほしいと誰よりも願っている。佐藤輝は今や世界の本塁打王すらワクワクさせる存在となっている。