悩める新助っ人に待望の1発が飛び出した。阪神メル・ロハス・ジュニア外野手(30=韓国・KT)がヤクルト戦の5回にセンターバックスクリーン左へ飛び込むソロ本塁打を放った。タテジマデビューから22打席目の初安打が来日1号となった。6回には中前タイムリーを記録し、2安打2打点。チームは大敗を喫したが、ロハスの覚醒は明るい材料だ。

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目覚めの1発を豪快にバックスクリーン左へ運んだ。観客のどよめきはすぐに歓声へと変わった。ロハスは一塁を回った直後に柵越えを確認すると、かみしめるようにグッとガッツポーズをした。

「チームが負けてしまったので、あまりうれしい気持ちはないんですけど、ホッとしたかなというふうには思います。最初のヒットがホームランになって良かったです」。

5回1死、ヤクルト先発右腕サイスニードに対して左打席へ入った。2ボール2ストライクからの6球目、外角150キロを逆らわずに振り抜いた。来日初安打が初ホームランとなり、ベンチで安堵(あんど)の表情を浮かべた。

崖っぷちだった。この日の第1打席を含め、来日から21打席連続で無安打。昨年ボーアが記録した球団外国人野手ワーストだった18打席連続無安打を更新。矢野監督は2軍再調整の可能性まで示唆しており、17日には休日返上で打撃練習を行うなど必死だった。そんな中での1発に指揮官は「そういう活躍をしてもらうために来てもらった選手。これをきっかけにしてくれたら。まだまだこんなもんじゃない」とさらなる爆発を期待した。

空振り三振だった第1打席にタイミングが合う感覚を感じ、マルテには「すごくいい感じで次、打てると思う」と予告していたという。1号ソロに続き6回には中前へ適時打。9回の第4打席も一塁へ鋭い当たりを飛ばした。「いい流れだと思うので、このまま打てるように頑張っていきたい」と手応えをつかんだ。

本塁打、そしてタイムリーを打った後には、右翼からファンの歓声に帽子を取って丁寧にお辞儀した。昨年の韓国2冠スラッガーが、これから遅れを取り戻す。【林亮佑】