最後はメットライフドームに新設された高さ20メートルのネットに泣かされた。9回2死二塁、ロハスのファウルフライはネットの高い部分に当たってから左翼手岸のグラブに収まったようにも見えたがアウト。矢野監督は審判団にリクエストしたが、判定は変わらなかった。「もちろんビデオ判定のあとに抗議はできないのは分かっている。映像的には確実に当たっているものがないんだよね。たぶん。それを確認しにいった」。試合終了後も審判団に食い下がって確認。リプレー映像でも分からない死角で幕切れとなった。

前夜は土壇場の9回に佐藤輝の3ランが出て、両軍で17得点を奪い合う壮絶なシーソーゲームを逆転で制した。この日は1点を逆転できない。プロ初の3発を放った佐藤輝にとってはももクロの「御前試合」だったが、9回も1死二塁で1発出れば逆転の場面で平良の155キロにバットが空を切った。4打数無安打、2三振と小休止となった。打線は5投手の前に4安打に抑えられ、完封された。

矢野監督が「あそこで送れなかったのは流れ的には痛い」と悔やんだのは8回だった。先頭の近本が四球で出塁。続く2番のドラフト6位中野はバントファウル、見逃しで追い込まれた後に2度ヒッティングでファウル。その後スリーバントを試みて失敗した。「アイツのところでそういう作戦はこれからも出るからね」。中野はここまで40試合、128打席に立って犠打は0。この日も2安打と打撃好調だが、2番打者としてきっちり犠打でも送れるよう成長を願った。

セ首位で突入した交流戦は負けと勝ちが交互に続き2勝3敗。30日はドラフト5位の村上がプロ初登板初先発する。矢野監督は「どんどん向かって投げてくれたら。あとは打線がどれだけ点を取れるか。もちろん援護を早めにしてもらいたい」と打線の奮起を期待した。【石橋隆雄】