楽天涌井秀章投手(34)がプロ野球史上49人目の通算150勝を達成した。

広島打線を相手に6回5失点でハーラートップタイの今季6勝目をマーク。広島から西武時代の11年5月25日以来、10年ぶりの白星を挙げた。

4点のリードをもらった初回、1死から小園、菊池涼に連打、林にも適時打を許し2点を返される。慣れないマツダスタジアムのマウンドを気にするそぶりを店ながら、2、3回はともに3者凡退に抑える。

打線が4回に1点、5回に2点の援護をもたらしたが、涌井も4回にクロンに、5回は西川にそれぞれ適時打を許し、リズムをつかめない。6回にもクロンに左翼席へソロを浴び6失点。それでも2点のリードを保ち、113球を投げきった。

試合終了後にはマスク姿で記念ボードを掲げ、敵味方関係なく送られる拍手に何度も頭を下げた。

ヒーローインタビューで通算150勝の感想を問われ「うれしいですけど、5点もとれられてしまったのでうれしさは半減です」と率直な感想を述べ「本当に大きいけがとかもなくやってこられたので、それは両親に感謝したいです」と思いを込めた。

大台の200勝へは「まだ50勝もあるのに正直見えてる数字じゃない。たぶん(ヤクルト)石川さんも目に見えている数字じゃないと思うので、本当にここからは1勝1勝積み重ねていくしかない。たしかに大きな目標ではあると思うんですけど、長い年数やっているとあとどれくらい(現役生活を)やるんだろうと考えることが多くなってくると思う。なのでそんなに先走られてもみんな困ると思います」と話した。

横浜高から04年ドラフト1巡目で西武へ入団。1年目から1軍で登板を重ね、2年目の06年から5年連続で2桁勝利をマーク。07年には17勝で初の最多勝、09年には16勝で2度目の最多勝と沢村賞を受賞した。13年オフに国内FA権を行使し、ロッテへ移籍。15年に15勝を挙げ、3度目の最多勝を獲得した。昨季金銭トレードで楽天に加入。11勝を挙げ、プロ野球史上初となる3球団での最多勝に輝いた。

プロ17年目の今季は自身10度目となる開幕投手を務め、プロ野球史上3位タイの開幕戦6勝目、同初の3球団での開幕戦白星を記録。3、4月で6戦4勝0敗、防御率1・51の好成績を収め、自身5度目の月間MVPに輝いた。

▽楽天石井GM兼監督(現役時代に日米通算182勝。通算150勝を達成した涌井に)「150勝はまあまあのハードルだと思う。200トライする価値のある選手だと思います」

▽楽天島内(1回に先制適時打、8回に村林のバントミス後に3点左中間適時三塁打。今季最多タイの4打点)「村林がバントミスしたらチームは負けてないらしいので、今日のMVPは村林です。せんきゅー。いつき。今後は村林にしっかりバントミスしてもらうことです」

▼涌井が広島1回戦(マツダスタジアム)で今季6勝目を挙げ、プロ野球49人目の通算150勝を達成した。涌井の初勝利は西武時代の05年6月18日ヤクルト戦、通算100勝目はロッテ時代の15年7月24日楽天戦で、西武で85勝、ロッテで48勝、楽天で17勝を記録して達成。3球団で白星を重ねて150勝に到達したのは、川崎徳次(南海28勝、巨人70勝、西鉄52勝)高橋直樹(日本ハム138勝、広島2勝、西武10勝)に次いで3人目だが、川崎は100勝目と150勝目、高橋は1勝目と100勝目を同じ球団でマーク。1勝目、100勝目、150勝目をすべて異なる球団で記録したのは涌井が初めて。

▼石川と涌井が交流戦通算25勝目。交流戦の最多勝利は杉内(巨人)の26勝で、25勝は和田(ソフトバンク)に並ぶ2位タイ。

◆涌井秀章(わくい・ひであき)1986年(昭61)6月21日生まれ、千葉・松戸市出身。横浜から04年ドラフト1巡目で西武入団。13年オフにFAでロッテ移籍。19年オフに金銭トレードで楽天入団。最多勝利4度(07、09、15、20年)沢村賞(09年)ゴールデングラブ賞4度(09、10、15、16年)。08年北京五輪、09、13年WBC日本代表。16年にモデルの押切もえと結婚。今季推定年俸1億6000万円。185センチ、85キロ。右投げ右打ち。