DeNAが土壇場から驚異の粘りを見せた。4-12と8点差で迎えた9回裏。宮崎敏郎内野手が満塁本塁打を放つなど、打者11人で5安打3四球とつなぎ、7点を奪った。最終スコアは11-12。大差で終わりかけた試合は、3時間54分の大熱戦へと変貌した。

9回は1死から猛攻が始まった。この日、2軍から緊急招集され、途中出場していた柴田竜拓が一塁ゴロも、堂林翔太が失策。桑原将志が四球、代打細川成也が遊撃安打でつなぎ、満塁とした。3番佐野が左飛で2死。万事休すと思われたが、オースティンが押し出し四球で1点。5番宮崎が左翼席へ6号満塁本塁打を放った。

これで9-12と3点差になったが無走者に。さすがに終わりと思われたが、粘り腰を見せた。ソトが右中間安打で出塁すると、広島はこの回から登板した3番手の高橋樹也をあきらめ、抑えの栗林良吏を投入した。DeNAは代打楠本泰史が左翼フェンス直撃の二塁打を放ち、代走の田中俊太が生還。2点差となった。さらに、この回2度目の打席となった大和が左前適時打を放ち、ついに1点差に迫った。だが、最後は柴田が一塁ゴロに倒れ、追いつくことはできなかった。

09年夏の甲子園決勝、中京大中京(愛知)-日本文理(新潟)のような展開に、DeNAがホーム扱いで戦う東京ドームは、異様な興奮状態に包まれた。三浦大輔監督は「みんなが集中して最後まで食らい付いた。誰1人最後まであきらめず戦っていた。ベンチも盛り上がって、みんな勢いに乗っていた。あと1点でしたけど、気持ちを持ってゲームセットまで戦っている姿勢は前からあった。今回だけじゃないが、もう1つまで出せたのはよかった」と興奮気味に語った。

プロ野球で9回裏に7得点を奪った試合は、93年6月5日近鉄が、藤井寺球場でダイエーを相手に2-8から9-8でサヨナラ勝ちして以来、28年ぶりの珍事となった。

DeNAは最後まで粘りを見せたが、リーグ再開後は広島に2連敗となった。「これを今度は勝ちにつながれられるように、チーム全体でしたい」と三浦監督。先発ピープルズが3回に突如腰を痛めて降板し、救援も含めて投手陣は毎回の17安打を浴びた。打線は2試合連続2桁安打と好調なだけに、失点を抑えて、勝機を見いだしていく。【斎藤直樹】

 

▼DeNA柴田(2軍戦が中止で緊急昇格)「けが(左肩脱臼)はもう大丈夫です。ファームの試合でも状態は良かった。まだシーズンこれからだと思うので、チームのためにしっかりと貢献したい」