キャプテンが、ルーキーの窮地を救った。

楽天茂木栄五郎内野手(27)が決勝の3点適時三塁打。チームをオリックスと同率首位に引き上げた。1軍デビューマウンドだったドラフト2位高田孝が1回途中で危険球退場。直後にバットで暗雲を振り払った。ここ5試合で打率3割7分5厘、4打点。4試合連続安打の主将が、勢いづいてきた。

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粘って粘って、粘り勝った。1回2死満塁。茂木は3ボールから2球ストライクを見逃した。フルカウント。4球ファウルでタイミングが合ってきた。「フルカウントで満塁。ゾーンの中で勝負してくると思った」。10球目の152キロ外角直球を捉えた。打球は飛び込んだ中堅手を抜け、左中間へ。茂木は三塁へ滑り込んだ。「抜けてくれ~と思いながら走っていました。ヒットになってくれて本当によかった」。ベンチ、スタンドが拍手で沸いた。

暗雲が漂っていた。1回2死三塁でプロ初登板初先発のルーキー高田孝が危険球退場。緊急登板した西口が後続を断ち、この回を1失点でしのいだ。茂木は「西口がゼロで抑えてくれた。初回のあそこで点が入っていなかったら、今日は難しい試合になると思っていたので、初回に逆転できたのはすごく大きかった」。自らの一打の価値を理解し結果で応えた。新人右腕の黒星も消し「そういう気持ちでやっていた、と言いたいですけど、そんな余裕はなかったです」と笑った。

主将を表す胸のCマークも今年で2年目。チームを俯瞰(ふかん)的に捉えた上で「昨年も今年も1軍にいる選手は僕が何か言わなきゃいけない状況が来ない。何をしてるか? と言われたら、何もしていないです。すみません」と話す。状態を考慮され、ベンチから戦況を見つめる時も雰囲気を察し、行動で引っ張る。22日まで7連敗も経験したが「連敗している時も、去年の連敗と違って僕はそこまで悪くはないと思っていました」と光を見いだしていた。

この日で4試合連続安打とし、ここ5試合は打率3割7分5厘、4打点と勢いに乗ってきた。「正直、まだまだチームに迷惑をかけていた部分が大きい。これからもっともっと取り返していこうという気持ちで、1戦1戦気合を入れて戦っていきたい」。ここぞで頼れるキャプテンが、チームを頂へ導く。【桑原幹久】